大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室の武田雅俊先生と、大阪大学保健センターの工藤喬先生、編著『心の医学新書‐心のサイエンス‐精神医学の進む道』を読み終えましたが、いや、実に難しい本でした💦

2015年に発行されたため、少し古い本でありましたが、『神経科学』、『神経心理学』、『神経生理学』、『睡眠』、『精神病理学』の学位取得された38名の学位論文から成った本ですから、認知症、統合失調症、自閉症スペクトラム、睡眠などの論文が挙げられ、研究の期待や発展に向けた取り組みなども感じられて良かったです。

ただ、専門用語だらけでしたから、知らない機材やワードなどを調べながら読むという感じで、いつも以上に読んでいて頭が疲れました(笑)。

けれど、『客観的眠気と主観的眠気の相関性と乖離性』、『アルツハイマー(AD)で認められる妄想と分類された妄想に関するアプローチと理解』等々、色々と読んでいて興味深いと感じたことや、『人の異常行動の理解には、生物学的、心理学的、社会的な多様な分野からの理解が必要であることから、精神医学は多層性の精神病理学からのアプローチが必要だ』と、武田先生が書かれている文を読み、学問を探究するというのは、ある意味、バラバラな学問を『分離』し、各々のジャンルにて理路整然に理論を組み立て、それらを改めてパズルのように『統合/結合』することに意味があるのかもしれないと感じました。

そして、以前に読んだヘーゲルやサルトルなどを読むに、人の成長には、『アンラーニング』という学んだ知識を捨て去り、新たに学ぶ姿勢が必要であるとあって、人は物事を捉え、身に着けていくにつれ、いつしかそれらが固定観念(思い込み)となり、反対に物事の本質を見失う危険を孕むからだと、東京大学の斎藤先生が解説されていただけに、1つの本質を知るためには、積み上げた実在を1度放棄し、新たにアナロジー思考を働かせ、再構築する必要があると、感じていたこともあったため、今回の本にも共通したモノを見た気がする今日この頃。