このところ、日本列島周辺で、断層の活動によるとみられる大きな地震が相次いでいる。政府地震調査研究推進本部(地震本部)が1月に公表した資料によると、マグニチュード(M)7・5〜M8級の地震を引き起こす恐れのある「活断層」は日本各地に点在している。さらに大都市圏にもまだ調査が進んでいない「隠れ断層」が潜んでいる可能性もある。地震学の専門家は「首都直下地震のリスクは高まっている」と指摘しており、警戒が必要だ。


大都市圏「隠れ」リスクも

地震の発生メカニズムは大きく分けて2種類ある。1つは海と陸のプレート(岩盤)の境界で起こる「海溝型地震」で、代表的なものが2011年の東日本大震災だ。

もう1つが内陸部で発生する「活断層による地震」で、力がかかり、ひずみが生じた岩盤が耐えられなくなり、断層部分が動くことで起こることが多い。断層が上下にずれる「縦ずれ」のケースでは、岩盤が両側から圧縮される「逆断層型」と、岩盤が両側から引っ張られて起こる「正断層型」がある。水平方向に動く「横ずれ断層」もある。

今年に入ってからの大きな地震では、元日の能登半島地震(M7・6)や、今月3日に発生した台湾東部沖地震(M7・2)はいずれも「逆断層型」だ。最大震度5弱を観測した3月15日の福島県沖(M5・8)の地震も同じタイプだった。

東海大学の長尾年恭客員教授(地震学)は「東北日本は東から太平洋プレートに、西南日本は南東方向からフィリピン海プレートに圧縮されるため、逆断層型になるケースが多い。ちなみに中部以西は横ずれ断層の要素も加わる」と解説する。

日本の陸域には約2000の活断層があるとされ、地震本部ではその中から114の活断層を調査対象としている。このうち今後30年以内の地震発生確率が3%以上になる「Sランク」は36カ所、0・1〜3%未満の「Aランク」が51カ所、0・1%未満の「Zランク」が63カ所ある。残りは不明で「Xランク」と評価されている。記事中の図・表では、Sランクのうち、M7・5以上が予想される断層を抜粋した。

ただ、地震本部は「地震発生確率が小さいように見えても、決して地震が発生しないことを意味していない」と注意を促している。1995年の阪神淡路大震災の発生直前の確率は0・02〜8%、2016年の熊本地震の場合もほぼ0〜0・9%だった。