西村、萩生田、世耕が安倍派100人の多数派工作!?世も末だ!
西村、萩生田、世耕3氏は早くも“派閥”づくりの囲い込み競争 「もう数に入れたから」と誘われ
裏金事件で揺れる自民党。3人の現職国会議員を含む10人が起訴・略式起訴されたが、その“代償”が自民党政治の根幹ともいえる派閥の解消だった。しかし、安倍派幹部のなかには、派閥解消後の“派閥”結成に向けた動きがすでに出ているようだ。少なくとも「5人衆」のうち、西村康稔・前経済産業相、萩生田光一・前党政調会長、世耕弘成・前党参院幹事長の3人からは、議員の囲い込みともとれる発言が聞こえてくる。AERAdot.が入手したある集会での音声記録からも、そうした傾向が読み取れる。
【写真】囲い込みが激しい!? “3人衆”はこちら
2月3日、西村氏の地元(衆院兵庫9区)の兵庫県洲本市で、西村氏の後援会の幹部ら150人が集まる「世話人会」が開かれた。
西村氏からは、一連の裏金事件についての報告などがあり、そのなかでこんな発言があった。
「安倍派は解散になりますが、私を慕ってくれる若手が何十人もいます。若手から『(自民党)総裁選に手を挙げて』ともいわれています。若手の面倒をみてやりたい。議員連盟みたいなのでいきたい」
世話人会に参加した後援者の一人は、この発言が、“派閥”づくりに意欲満々な西村氏の気持ちの表れに聞こえたという。
■「自分も悪かった」と言いながら
「派閥幹部だった自分も悪かった、裏金ももらっていた、と言いながら、早くもまた、派閥かそれと同じようなものをつくりたいと言うので、あぜんとしました。私だけでなく、他の後援者でもそのように感じたという人はいましたよ」
と振り返る。
録音された音声記録を聞くと、西村氏の気になる発言は他にもあった。
「秘書が20人いて、うち3人しか国から給料は出ない。その人件費が年間1億円かかるので、自分で稼ぐために(政治資金)パーティーを開いてきた」
などと自身のパーティーについては肯定的に捉えて説明したが、安倍派の裏金づくりについては、
「安倍晋三元首相が会長になり、私が事務総長になったときにキックバックの論議があった。しかし、私はすぐに大臣になったので、その後は知らない」
と話していた。
西村氏は裏金が100万円あったことを認め、「秘書任せだった」と切り出しながらも、
「安倍派のパーティーの収入と書くところを、苦肉の策で自分のパーティーの収入として書いていた」
と語った。政治資金収支報告書への虚偽記載を“自白”した格好だ。
自身の責任についても、
「党の役職停止か、半年程度でしょう。まさか1年はない。その間だけは謹慎」
と「復活」を前提に、反省とはかけ離れた発言をしていた。
■萩生田氏の子分のような議員から……
岸田文雄首相は1月18日に「岸田派解散」を表明した。その翌日、安倍派も総会を開き、派閥解散を余儀なくされた。“裏金議員”の大半が金額を明かさざるを得ない状況になったが、萩生田氏は記者らに囲まれ、発言を求められた際も対応せず、去ったという。
萩生田氏の地元、東京24区で選挙中の八王子市長選で自民推薦候補が苦戦していたことがだんまりの理由にあったのか、21日に東京都の小池百合子知事や日本維新の会の支援を得て辛勝すると、ようやく記者会見し、自身の裏金を2728万円と明かした。
安倍派の衆院議員はぶぜんとしながらこう語った。
「萩生田氏は早くも、安倍派の議員の囲い込みを始めています。私にも『政策、テーマで集まって何も悪いことはない』『若手が路頭に迷うようなことがあってはならない』と誘いがありました」
この議員は、その場では明確な答えをしなかったという。するとその後、
「萩生田氏の子分のような議員から、『西村氏や世耕氏が前のめりで、子分を確保しようと躍起になっている。負けてられないので、仲間に入ってくれ』『選挙はしっかり応援するから』とさらなる誘いがありました」
という。それについても無視していると、「LINEで何度も同じメッセージがきました」。
月刊「文芸春秋」3月号に、萩生田氏、加藤勝信元官房長官、武田良太元総務相の鼎談(ていだん)が掲載されている。萩生田氏はそこでも、「みんなが政策ごとにグループを作って集まるのはこれからも続く」と語っており、グループ化は既定路線とみられるが、前出の“子分のような議員”の言動からは、政策よりも前に、数ありきの姿勢がうかがえる。
萩生田氏以外で、グループ化の動きがあると名前の上がった世耕氏は、裏金が1542万円だったことが判明したが、西村氏や萩生田氏とは違い、派閥解散後も地元・和歌山県には姿を見せていないという。
地元の地方議員は、
「一昨年の和歌山県知事選では、世耕さんが出馬させようとした官僚が土壇場でとりやめ。昨年は衆院補選で世耕さんが推し、選挙対策本部長を務めた自民党の元職が惨敗。そして今回は自分自身の裏金。それなのに地元にはおわびの電話すらない。世耕さんの支持者が2人寄れば、『(世耕氏は)男を下げたな』と口にします」
と打ち明ける。
安倍派の参院議員は、
「派閥の解散が決まってからも世耕氏はよく飲み会をやっています。参加するのは安倍派を中心とする参院議員です」
と話す。そうした場でどんな話をしているのか聞くと、
「世耕氏から『グループでやっていくから一緒にきてな。もう数に入れたから』と言われたという議員もいました。誘いに応じていない私にも『待っている』と連絡がありました。参院幹事長にも復帰する、といった話も自らしているようです。裏金事件から1カ月ほどしか経っていないなかで、若手議員は地元で厳しい批判を受けて頭を下げ、耐えているのに何を言ってるんでしょうね」
と憤りを見せた。
■「派閥再結成を言う3人にただあきれる」
前出の安倍派の衆院議員によると、
「安倍派がなくなるのは、西村氏ら5人衆と呼ばれる幹部に大きな責任がある。しかし、西村氏だけでなく萩生田氏、世耕氏も『派閥を再結成』と言っている。ただあきれるばかりです」
西村氏、萩生田氏、世耕氏が争うように“派閥づくり”に奔走しているようだが、裏金事件はまだ終わったというわけではない。特捜部は3人とも不起訴としたが、検察審査会に申し立てられる可能性はある。3人は直接、刑事責任を問われる可能性は低いとしても、いずれも個人の政治団体の政治資金収支報告書は訂正されており、外形的には政治資金規正法に違反した「虚偽記載」となる。
元検事の落合洋司弁護士はこう指摘する。
「政治資金収支報告書を直接書いた会計責任者は罪に問われても仕方がない状況です。検察審査会は一般市民から選ばれています。裏金事件は大きなニュースになり、国民から批判を浴びていることから、会計責任者については最終的に起訴の議決が出て、刑事責任が問われる可能性は十分あります」
こうした状況を踏まえ、自民党の幹部がこう話す。
「3人が早くも“人集め”に奔走していることは党内でも知れ渡っています。安倍派から大きな問題になり、派閥解散を岸田首相が決断したのに何もわかっていない。もし会計責任者が起訴されるようだと、本人たちにも影響はあるでしょう」
(AERA dot.編集部・今西憲之)