「認知症になった人に対して

その人の心に寄り添ったケアを」

とよく言われており、

母のために、

出来る限り

心がけようと思っています。

 

しかし、

この地域で生まれ育った住民に根付く

あの習性はなかなか厄介なものです。

 

 

ボケられると

反射的にしてしまうツッコミ。

 

 

習性というものは恐ろしいもので、

いくら気を付けていても

頭で考えるより先に

つい出てしまいます。

 

当然、

母はわざとボケているわけではないので、

馬鹿にされていると感じて憤慨します。

 

 

BPSDはありましたが、

母がまだ歩き廻ることができていた

頃の話です。

 

正月に、

家族一緒にテレビで箱根駅伝を見ました。

 

大学生たちが疾走する姿は胸に迫り、

母はとても感動していました。

 

 

次の日、よほど心に残ったのか、

太陽も出ていない早朝、

母は自分の夫を大声で叩き起こす

という行動に出ました。

 

 

「早く、早く起きて。

 マンションの下で

 学生たちが待ってるから。

 

 早く行かなくちゃ、

 急いで下りなくちゃ、

 今すぐ走らなくちゃ、

 

 お父さんが。

 

 

思わず、家族で総ツッコミ。

自分は走らなくていいらしいです。

 

もちろん、

ツッコまれた母は激怒。

 

 

人の心に寄り添った言葉がけというのは

なかなか難しいものです。

 

 

ちなみに、

スパルタコーチの早朝起こしは

その後、三ヶ月続きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* BPSD;暴力・暴言、拒絶、幻覚、妄想、徘徊など、

    認知症の行動・心理症状のことを指します。