社会に出るとこんな人になりたい

と思う人に出会うことがありますが、

私も母の介護をきっかけに

出会った人がいます。

 
それは現在母が通うデイサービスで
母を担当しているスタッフの人です。
 
 
はじめ、母は自宅で家族とリハビリを
していたのですが、BPSDがひどくなり、
一人での留守番が難しく、週に数回
デイサービスに通うことにしました。
 
案の定、拒否の嵐。
威嚇する、怒鳴る、ドアを叩く、
動き廻るなどの反応をみせて
体験の時点で施設側から
やんわり断られる始末。
 
というのを
数ヶ所のデイサービスで経験して
「母は性格的に通えないかもしれない」
と焦り始めていたとき、
ケアーマネージャーさんから、少し家から
離れるが、懇意にしているスタッフのいる
デイサービスがあると聞きました。
 
 
体験に行くと施設がきれいで、
スタッフ同士がよくコミュニケーションを
とれているような、
いい雰囲気の場所でした。
 
ここに通わせよう、と私は一瞬で
心に決めましたが、母は断固拒否。
 
同じ行動を繰り返し、「ここでも
断られるかもしれない」と思いましたが、
担当の人に「大丈夫、大丈夫」と
嫌な顔一つされずに受け入れられました。
 
 
ですが、通所拒否は続きます。
前述のいくつかのデイサービスで
母の利用を断られた大きな理由は、
母がまだ若く、体力があることでした。
 
ドアを開けようと力いっぱい数時間
扉と格闘するので、ドアが壊されてしまう
可能性がありますし、
足は頑丈ですので散歩中など全速力で
逃走すればなかなか追いつけません。 
 
デイサービス側としては責任問題や
スタッフの配置人数があると思い、
担当の人に会う度、
「迷惑をかけていると思います。
本当にすみません。」
といつも頭を下げていました。
 
しかし、その人は明るく、
母は決して迷惑な存在ではない、
と私の言葉を否定し続けました。
 
 
今では、母も落ち着き、
車椅子生活になっているため、
施設内で静かに座っているようです。
 
私も、職業柄、人を相手にすることが
多くありますが、辛くなったときは、
そのスタッフの人の立ち振る舞いを
思い出し、模範にしながら
行動しています。
 
 
 
 

 

 

 

 

 

* BPSD;暴力・暴言、拒絶、幻覚、妄想、徘徊など、

    認知症の行動・心理症状のことを指します。