ウィーン国立歌劇場は、私には馴染みの薄い歌劇場である。
今までに印象に残っている公演は2回。ウルフ・シルマー指揮のこうもりは素晴らしかった。
 ウィーン国立歌劇場がこうもり!ウィーンフォルクスオペラの公演よりもやはり世界3大オペラはすごい。舞台も目を見張るほどのすごさ。歌手もヘルマン・プライにヨッヘン・コヴァルフスキー超一流歌手陣がめじろ押し、兎に角凄い公演だった。
 あとジュゼッペ・
シノーポリのマノン・レスコーは衝撃だった。神奈川県立ホールの3階で聞いていたのだが確かオーケストラピットの電球の玉が全て消えてしまうと言うアクシデントがあった。
私はこの演目ならばミラノスカラ座公演だったら喜んで行きたかったが、ウィーン国立歌劇場ならばワグナーを聞きたいと思っていたのだ。
 当時配役はダブルキャストになっていてギネス・ジョーンズ/トコディだったが当日の配役はトコディだった。やはり来日オペラは初日に見なければいけない。初日ならばギネス・ジョーンズが歌っていたと思う。だがこの初めて見たオペラはシノーポリの指揮振りとマノン・レスコーの美しい旋律に酔わされてしまった。私はこのジュゼッペ・シノーポリとマノン・レスコーの大ファンになってしまった。確か25年程前だった。
 この時パルジファルもNHKホールで聞いた。パルジファルは私の好きなオペラでは無い。1976年のイースターの時に私はミュンヘン歌劇場で大好きなウォルフガング サヴァリッシュの指揮で聞いている。

 イースターの時期にミュンヘンに居合わせたのでたまたま歌劇場入口で"チケット求む"の紙を掲げていたら1階平土間の良い席を品の良い初老のマダムが主人が来られなくなったからと私にチケットを譲ってくれた。確か16時開演で22時過ぎに終わったと思う。パルジファルは高校の時に若杉弘の指揮で二期会公演を東京文化会館で見ている。確か先月、同じホールで二期会が公演したが私はパルジファルが好みで無いので聞いていない。 6時間もツマラナイオペラを聞いていられないタチなのだ。


 話は脱線したが私は生まれてから3回パルジファルを見にいった。高校生の時、フランクフルト在住の時に、そして25年程前にウィーン国立歌劇場の日本公演で指揮していたのがペーター・シュナイダーだった。この地味な指揮者が今回の公演ではフィガロの結婚を指揮している。
フィガロの結婚は有名だが私は余り好きなオペラではない。
フィガロの結婚はロッシーニのあの面白い馬鹿げたストーリーな名曲 "セビリアの理髪師" 。兎に角後見人が若い娘との結婚を企んでしまうと言う!ロッシーニクレッシェンドのロジーナが歌う難曲やフィガロが歌う"私は街の何でも屋"など面白いストーリーなセビリアの理髪師の後編がモーツァルトのフィガロの結婚だと言うのだがこのオペラ4幕見るのは飽きてしまう。特に4幕は無い方がましだ。

 ウィーン国立歌劇場で大枚6枚叩いて見ているので最後まで見るが普通の公演ならば確実に4幕の前に私は帰るだろう。 と言うよりも私はフィガロの結婚は好みではないので本公演で見納めだ。



 好きなオペラではないがこのオペラは素晴らしかった。
この日の朝、家内に今日夜フィガロの結婚見に行くから遅くなるからと言って仕事に出たのだが、彼女びっくりした顔していた。えっ嫌いなオペラお父さん見に行くのと!
  
家内が知っているほど私はモーツァルトのオペラを好まないのだが、ウィーンで最初に見たのは22才の時にみたオペラ"後宮からの逃走"なのだから。あまりのつまらなさに途中でウィーン国立歌劇場を出て近くのレストランで不味いウインナーシュニッツェルを食べた記憶が蘇る。

 ウィーン国立歌劇場は政治色も強いので私は好まないのだろう。
日本人では松本美和子がバタフライ、佐藤しのぶがミカエラ、ジョン健ヌッツォも歌っている。クラウディオ・アッバードの後に日本が誇る世界的指揮者 小澤征爾大先生が常任指揮者になられたのは凄い。ハプスブルク家ゆかりのウィーン。小さいオーストリア。
世界でも屈指の気位の高い。ウィーン。
 神田生まれの神田育ちの見栄っ張りの私にはウィーンは馴染めないのかもしれない。
いや私のコンプレックスがウィーンを受け入れないのかもしれない。
たぶんウィーン国立歌劇場公演はこれで見納めだとおもう。


 数々の思いでを残してくれた神奈川県民ホール。
ミラノスカラ座公演でカルロス・クライバー指揮 ラ・ボエーム。
ゲッツ・フリードリッヒ総裁のベルリン ドイツ オペラがニーベルングの指環、ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリーと、神々の黄昏の連続公演もメトロポリタンオペラ 愛の妙薬ネモリーノのパパロッティも私は神奈川県民ホールで聞いている。
伯爵夫人を歌ったパルバラ・フリットリの美しいアリアを聞いていて涙が止まらなかった。
グンドラ・ヤノビッツの伯爵夫人も素晴らしかったがパルバラ・フリットリを初めて聞いたが兎に角素晴らしかった。
ブラボーを十数回叫んだかいありだんだんホールも活気が出てきた。
忘れることが出来ないウィーン国立歌劇場公演を聞いて満足満足!
ダンケ シェーン!
やはり私は華やかなミラノスカラ座が一番好きなオペラだな。
来年は、ミラノスカラ座に行きたいと思っている。