「ふぅー。ただいま。」
久しぶりに放った挨拶は、誰もいない家中に虚しく響く。
その響きは少しだけ、少しだけあの時に似ていた。
あれから、少し長く話して解散。
そのあと一人で、最寄駅の周りを散策して帰ってきた。
自分がこれから生活していく地域の事を知っておきたかった。
投稿初日の感想。
ぶっちゃけ、
空虚感を感じざるを得なかった。
みんなが悪いわけではない。むしろ、いいクラスだと思う。
ただ、あいつらが、
いつも一緒が当たり前だったあいつらがいない。
それは、その事実はオレの心に深く突き刺さり、オレの心の中を空っぽにしてしまう。
だけど、オレはあのクラスで、あのクラスメートと生活していかなければならない。
あの四人といることは苦ではない。
だけど、オレの心は物足らなさを感じてしまう。
あぁ。無理だ。
このことを考えると、膨大な量のエネルギーを使う。
オレにとって、この話はそれだけ重要なことなのだ。
考えているうちは気づかなかったが、今になって自分がすごく空腹感を感じていることに気づく。
エネルギーを求め冷蔵庫のドアを開ける。
冷蔵庫を開けたところで、一つ気づくことがあった。
「そーいや、炒飯作ってねぇな。」
オレの大の得意料理。炒飯。
うちは母子三人家庭で母親が忙しい。
だから、うちに帰ってきて誰もいないと、たまーに作っていた炒飯。
「あれ以来作ってないな。」
でも、ぶっちゃけ今は作る気にはなれなかった。
炒飯は食べたかった。でも、オレの中の空虚感がそうはさせてくれなかった。
とりあえず部屋に戻る。
無意識のうちに向かっていた先は、
一枚の写真。
あいつらの笑顔。
オレの思い出。
最高だったあの日々。
体が、心が、あいつらの笑顔を求めていた。
目の前にはうつ伏せに寝ている写真。
周りを彩る赤の写真立て。
ダメだ。ダメなんだ。今の弱いオレがあいつらの笑顔に触れたら、本当に現実に戻れなくなってしまう。
前を向いて生きなければならない。
自分を抑え、ベッドにうつ伏せになる。
その時、窓の方から規則的な音を感じる。
「前田さん…?」