あれから、突然カフェを出て行った優子とそれを追いかける昴希がいなくなり、残った3人は流れで解散。
「じゃあまた明日な。」
軽い挨拶をかわし、3人は2人と1人に別れる。
何回目かの前田さんとの帰り道。
でも、こんなに気まずいのは今日が初めて。
前田さんは大あくびを何回もかますほど眠そうで、オレのことなんか気にもかけちゃいないだろう。
鳥の鳴き声、遠くを走っているはずの電車や車の音、風で揺れる木々達の声。
いつもなら気づかない音に焦らされているように感じて、勝手に焦るオレ。
それでも、喋るべき言葉は一向にオレの頭の中には現れない。
もうすぐ家に着く。
そこまで来てもオレは言葉を発することができず、情けなさに落胆することしかできない。
そんな時、少し前を歩いていた前田さんが立ち止まり振り返る。
「さっきの優子のことなんだけどさ。
優子は誰とでも仲良くなりたい人間だし、
これは私の推測だけど、多分そーゆー関係のことで昔嫌なことがあったと思うんだ。
だからさ、恥ずかしがらずにもっと私たちに興味持って、仲良くしてくれたら、、
私は嬉しいな。
もうみんな闘起君のことは大切な仲間だと思ってるから、自分で勝手に距離を感じないでさ。
それじゃあまた明日ね!」
そう言って自宅に帰っていく前田さん。
オレはその前田さんをただ見つめることしかできなくて、そんなオレの心は温かさでいっぱいだった。
オレは自己中な考えで、オレの事を考えてくれている2人を苦しめていたんだ。
自分のためだけの考えで、2人を苦しめていた。
そんなことに気づかなかった自分が情けなくて、
でも、
ここに来れてよかった。
そう思うこともできた。
この学校に来れて、この仲間に会えて、よかった。
そう思うこともできた。