佐小椋さんに救急病院まで送ってもらい、医者に松井さんを見てもらう。
「これは風邪症候群すなわち、風邪です。命に別条があるとかそんな重い病気とかではないので、安心してください。」
あぁ。よかった。もし松井さんの身に何かあったらもう…
「高熱がでていたので苦しかったと思いますが、今は少し楽になったと思いますよ。
今日は、病院に一日だけ泊まりますか?」
「あー、ちょっと本人と相談させてもらってもいいですか?」
松井さんが寝ている部屋に向かう。
ベットに寝ている松井さん。少し顔の赤みは減ったかも。でも、まだ辛そう。
「っふぅー」
ベッドの横のイスに座り、一息つく。
松井さんと会ってからの数週間、とても時間が早く感じた。
休む暇もなかったけど、仕事もなんだかんだ上手く行ってるし、毎日が楽しい。
あの時、松井さんが溺れなかったら、オレが助けに行かなかったら、オレは今頃なんとなく仕事をこなす毎日が続き、つまらない毎日に嫌気がさしていただろう。
松井さんのおかげかな。
そして最近、その松井さんの笑顔をずっとそばで見たい、守りたいと思うようになった。
「い、岩田さん?」
「あっ松井さん!大丈夫ですか⁉︎」
「は、はい。なんとか。ゴホッゴホッ。」
「あっ、あんまり無理して喋らないでくださいね。
っつーかオレ、一番最初に松井さんと会った時もこのセリフ言いましたね(笑)」
松井さんの口元が少し緩んで笑顔ができる。
そう。この笑顔だ。
この笑顔をもっと見たい。
この笑顔を守りたい。
「それで、今日一日病院に泊まりますか?それとも家に帰りますか?」
「う、うーん。
ちょっと、、お母さんに電話かけさせてもらえますか?」
松井さんは自分のバックから携帯を取り出し、お母さんに電話をかける。
「もしもし?あ、ごめんごめん。
ちょっと今日さ、、、、、」
松井さんが事情を説明中。
やっぱ遅くまで解散しなかったのはまずかったかな~。
大人としてあるまじき行為である。
「うん。ゴホッゴホッ。はーいわかった。それじゃあね。」
「今日は、、一日だけ入院します。
先生に伝えといてもらってもいいですか?」
「わかりました。
どうかしましたか?」
少し曇った顔でバックを激しく漁っている松井さんに違和感を覚える。
「いや、珠理奈とペアでイニシャル入れてもらったお気に入りのヘッドフォンがなくなっちゃって…
どこいっちゃったんだろ…
大事にしてたのにー…」
オレは病室を飛び出す。