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米陸軍の新たな機動支援艇「MSV」

2020年6月29日更新
 

 

 米軍の主力戦車M1A2を搭載し、高速航行する米陸軍の機動支援艇「MSV」のイメージ(いずれも米Vigor社のホームページから)

 

 正面から見た「MSV」。船底は「M」字型で、接地面積を減らし接岸・離脱を容易にしている。戦車の砲塔は前扉の上にあり、〝艦砲射撃〟もできる設計だ

 

 浜辺に乗り上げた「MSV」から自走で上陸するM1A2戦車

・・・他

最高速力30ノット

 米陸軍は半世紀にわたって使用してきた揚陸艇「LCM8」に代わる新たな機動支援艇「MSV(Maneuver Support Vessel)」の整備に着手した。ウオータージェット推進となるMSVは最高速力が30ノット(56キロ)以上、物資を搭載しても21ノット(39キロ)の高速が出せ、戦車など装備品を迅速に輸送・揚陸できるのが最大の特徴だ。陸自も今後新編する「海上輸送群」に輸送船艇の導入を計画しており、米軍の「MSV」はその良き参考となりそうだ。


車両の搭載・卸下は「ドライブスルー方式」

 米軍の「LCM(LandingCraft Mechanized)」は第2次大戦中から上陸用舟艇として活用され、兵員や車両の陸揚げに使われてきた。ベトナム戦争中に整備された「LCM8」もすでに半世紀を経て老朽化が進む。今後、その後継の輸送艇となるのが米ビガー社(Vigor、本社・ワシントン州シアトル)が1番艇を建造中の機動支援艇「MSV」だ。

 MSVでは車両の搭載・卸下が「ドライブスルー方式」となる。戦車など車両は艇の後部から自走で乗り込み、接岸後、前部から降りる方式となり、使い勝手は格段に良くなる。

 MSVの大きさは・・・

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スムーズな接岸を実現 戦車の〝艦砲射撃〟が可能な設計

 MSVの船体の特徴は、船底に2本の窪みがあり、正面から見ると「M」字型となっている。これにより、砂浜に乗り上げた際に接地面積を少なくし、抵抗を減らしてスムーズな接岸を実現している。離岸する際も同様の効果があり、作業はスピーディーになる。

 一方、車両の搭載で注目されるのは、輸送甲板に乗り込んだ戦車や装甲車の砲塔の高さよりも、船体の前扉や左右舷側が低くなっている点だ。つまり、同艇では搭載した戦車などが艇上から主砲の発射が可能な船体デザインとなっている。

 ビガー社が公表したMSVの完成予想図によると、乗り込んだM1A2戦車の120ミリ主砲は舷側や前扉よりも高い位置にある。このため、戦車は艇上でも砲身を自在に回転・上下させることができ、航行中であっても主砲の射撃は妨げられない。

 MSVが装備する兵装は、・・・

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 防衛関連ニュース

<世界の新兵器>
 空対空ミサイル「AIM260JATM」(米)
 デュアルモード・シーカー採用

2020年6月29日更新

 

 空対空ミサイル「AIM120 AMRAAM」を発射する米空軍のF35A戦闘機。射程延伸型の「AIM260 JATM」もほぼ同じサイズとなる(米空軍HPから)

 米空軍の「AIM120 AMRAAM(Advanced Medium-Range Air-to-AirMissile)」に替わる次期空対空ミサイルとして、米ロッキード・マーチン社は「AIM260 JATM(Joint Advanced Tactical Missile)」を開発中である。

 この背景には、中国が開発し装備している「PL15」空対空ミサイルや、ロシアが開発している「R37」空対空ミサイルの存在がある。

 PL15はAIM120より長い200キロの射程を有し、R37も200キロ以上の射程を有するといわれ、AIM120を凌駕する。さらにPL15は発射されるとマッハ4で高高度へ到達し、その後マッハ2.5で巡航飛翔し、200キロ先の目標(戦闘機など)と交戦する能力を有する。

 従って米空軍はこれら脅威となるPL15やR37に対抗できる空対空ミサイルの必要に迫られ、開発を急いでいるのがAIM260JATMである。

 AIM260のサイズは、米空軍の主力機であるF22、F35戦闘機のウエポンベイ(胴体内部の兵器庫)に収納するため、現有のAIM120(直径18センチ、全長3.65メートル)とほぼ同じサイズになるようであるが、ラムジェット推進機構は採用していない。

 AIM260の誘導装置(シーカー)については、・・・

柴田 實(防衛技術協会・客員研究員)

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 防衛関連ニュース

<防衛トピックス> ―国内―
「空飛ぶ軽トラ」川崎重工が開発

2020年6月29日更新

 

 川崎重工は「空飛ぶ軽トラック」として活用できる輸送用ハイブリッド・ドローン(写真)の開発を進めている。

 同機はプロペラのモーター駆動に必要な電力を搭載するエンジンで発電するため、バッテリーのみのドローンに比べ、大出力を長時間持続できるのが最大の特徴。計画では重量200キロ以上の貨物を搭載し、100キロ以上を飛行できる。

 サイズは・・・

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 防衛関連ニュース

日米共同訓練 護衛艦「かが」で米陸軍ヘリ発着艦
(2020年6月15日)

2020年6月29日更新

 

 護衛艦「かが」の西田艦長(左)が旗甲板から見守る中、発艦する米陸軍のUH60Lヘリ(6月15日)

 海自4護隊(呉)のヘリ搭載護衛艦「かが」(艦長・西田敏志1佐)は6月15日、関東南方の太平洋上で在日米陸軍航空大隊(座間)のUH60L多用途ヘリ2機と日米共同訓練を実施した。

 誘導を受けて同海域に飛来したUH60Lが航行中の「かが」の飛行甲板に着艦、日米共同で洋上での戦術技量を向上させた。

 海自の護衛艦「いずも」と「かが」は、STOVL(短距離離陸・垂直着陸)型のF35B戦闘機の発着艦を可能にする改修工事が予定されている。

 

 

 防衛関連ニュース

日米共同訓練 米B52Hと空自機が編隊航法
(2020年6月17日)

2020年6月29日更新

 

 日本の周辺空域で共同訓練を行う空自のF15戦闘機(下の2機)と米空軍のB52H戦略爆撃機(6月17日)=米軍HPから

 空自各航空団の戦闘機部隊は6月17日、米空軍第2爆撃航空団(ルイジアナ州バークスデール基地)からグアム島のアンダーセン基地に前方展開中のB52H戦略爆撃機2機と日本海、沖縄周辺の各訓練空域で日米共同訓練を実施した。

 空自からは・・・

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