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「いずも」型護衛艦にF35B戦闘機を搭載
どう変わる自衛隊の海洋戦略 堤明夫氏
自衛隊史上初となる〝艦載型戦闘機〟の導入が令和2年度防衛予算(概算要求)に盛り込まれた。この機こそ海自の護衛艦「いずも」型に搭載される短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型の「F35B」だ。空自パイロットが搭乗する同機は、予算が通れば6年度から導入が開始される予定で、海自はこれに合わせて「いずも」と2番艦「かが」の船体改修を進める。海自艦艇にF35Bを搭載することで自衛隊の海上作戦はどう変わるのか。防衛技術協会客員研究員の堤明夫元海将補(元イージス艦艦長、元防大教授)に、改修「いずも」の運用構想と今後の課題・問題点について伺った。
令和2年度「F35B」6機要求
平成25年の「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」(いわゆる「25大綱」)によって新たに打ち出された南西諸島を念頭に置いた「島嶼防衛」という構想は、さらに平成30年の「30大綱」、そしてそれを受けた「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」(30中防)によって次第に具体的な形として現れてきている。
その中で、航空自衛隊においては旧式化したF4戦闘機の後継機として、既に導入が始まっているF35A戦闘機に加えて、この「離島防衛」を念頭においた短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機の導入を図ることとし、これは本年8月、米国の「F35B」を導入することで防衛省により正式決定された。そしてこれに伴い、令和2年度の防衛費概算要求にこの「F35B」6機と、これの搭載のための海上自衛隊の護衛艦「いずも」型の改修費31億円を盛り込んでいる。
空自がF35Bを計42機導入へ
空自はこのF35Bを最終的に3個飛行隊プラス教育用の計42機を導入する計画であり、この3個飛行隊を既存の航空基地に配備(現在のところ宮崎県の新田原基地が有力と見られている)とし、必要に応じて南西諸島の各地に分派すると共に、改修「いずも」型に適宜搭載して運用することとしている。
すなわち、改修「いずも」型は空自のF35Bを常時搭載して運用するのではなく「必要に応じて搭載する」としており、また「いずも」型のF35B搭載のための改修費は現在のところわずか31億円程度とされている。これでは英・西欧海軍などでは常識となっている艦首部の「スキージャンプ」設置はないであろうし、また将来的に設置するにしても常時搭載・運用でなければ、臨時搭載する数機のために飛行甲板の相当な部分をこのスキージャンプ運用のために取られるのは極めて無駄といえる。
空母ではなく「多機能護衛艦」
このような「いずも」型の改修について、世間一般では俗に「空母化」と言う向きもある。しかしながら、空自が運用するF35Bを単に「いずも」型でも搭載・運用可能にするというだけで、これを「空母」と言っては世界から笑われるであろう。
実際のところ、防衛省自身がこの改修による「いずも」型を「多機能な護衛艦」としており、F35Bを常時搭載・運用することも、スキージャンプを設置することも念頭に置いていないと判断される。このことからも「空母化」などという指摘は論外、と言うことになる。
整備員・予備品・弾薬類は?
ところで、・・・
防衛関連ニュース
統幕長、ミャンマー国軍司令官と会談
防衛交流の促進で一致
(2019年10月9日)
2019年10月23日更新
山崎統幕長は10月9日、来日したミャンマー国軍司令官のミン・アウン・フライン陸軍上級大将と防衛省で会談し、両国の防衛交流を促進していくことで一致した。
フライン司令官の来日は2017年以来3回目。山崎統幕長は陸幕長時代の18年、ミャンマーを訪問した際に同司令官と会談しており、両者は日本での再会を喜んだ。
会談で統幕長は、日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンの実現に向けた取り組みを説明し、「地域の平和と安定、世界の繁栄のために、今後もミャンマー国軍と自衛隊の交流を深めていきたい」と述べた。
これに対し、フライン司令官は「・・・
防衛関連ニュース
日ASEAN次官級会合 防衛協力の進展を歓迎
ラオス国防副大臣が特別講演
(2019年10月9日)
2019年10月23日更新
防衛省主催の第11回「日ASEAN防衛当局次官級会合」が10月9日、都内のホテルで開かれ、防衛省の西田安範防衛審議官を議長に、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国とASEAN事務局の次官クラスなどが地域の安全保障情勢などをめぐって意見交換した。
今回は、①地域の安全保障情勢②インド太平洋をめぐる構想「自由で開かれた地域秩序に向けて」③地域の防衛協力に向けたASEANの取り組み――をテーマに討議。地域の平和と繁栄の基礎となる「自由で開かれた地域秩序」を維持するためには、〝地域協力の要〟であるASEANの「中心性・一体性」を確保することが重要だとの認識で一致した。
さらに、開放性・透明性・ルールの尊重――などの諸原則に基づく地域秩序を構想する点において、日本の「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンと、ASEANが今年6月に発表した「ASEANインド太平洋アウトルック」は・・・
防衛関連ニュース
<「北の防衛」担う海自大湊基地①>
女性初の地方総監部幕僚長 近藤奈津枝海将補
2019年10月23日更新
政府の女性活躍推進施策に伴い、自衛隊でも職域が広がり、全国の各部隊で女性隊員が輝きを放っている。青森県むつ市の海自大湊基地では、常に〝先駆者〟として女性活躍の道を切り開いてきた近藤奈津枝将補が昨年12月、女性隊員として初めて地方総監部幕僚長に着任した。そのきめ細やかな気配りで、近藤将補は北の海の防衛に当たる大湊地方隊隷下の各部隊を取りまとめ、酒井良総監をしっかりと支えている。(星里美)
第7護衛隊、第15護衛隊の司令部がある
大湊基地には、北海道・北東北の沿岸防衛などに当たる海自第7護衛隊と第15護衛隊の司令部が置かれ、護衛艦「ゆうだち」「まきなみ」「すずなみ」「はまぎり」「おおよど」「ちくま」、そして最新鋭艦の「しらぬい」などが配置され、厳冬期なども関係なく、日夜、宗谷海峡や津軽海峡の監視活動などに就いている。大湊にはこれら艦艇の造修整備・補給を担う「造修補給所」、基地警備や港務に携わる「警備隊」をはじめ、さまざまな部隊があり、これを指揮する大湊地方総監を「総監部」が一元的に支えている。
大湊地方隊の隷下には、北海道に配置された函館基地隊、余市防備隊、稚内基地分遣隊があり、総監部はこれら部隊の所掌にも当たる。北に位置するため国内で最も厳しい自然環境にある地方隊だが、ここで各部隊が支障なく任務を遂行できるよう、全体の調和や統制にも目を配っているのが幕僚長である近藤将補の役目だ。
近藤将補は山口県の出身で、昭和63年、海自に入隊(一般幹候40期)。当時はまだ女性隊員の艦艇・航空機への配置制限があったため、主に経理補給関係の道を歩み、佐官に昇任後は佐世保地方総監部経理部長、海幕厚生課長などを歴任した。平成28年に海自初の女性・・・
防衛関連ニュース
<「北の防衛」担う海自大湊基地②>
地元の期待、一身に新造護衛艦「しらぬい」
35年ぶりに配備
(2019年3月11日)
2019年10月23日更新
今年2月、大湊基地には35年ぶりに新造の汎用護衛艦「しらぬい」(5100トン)が配備された。3月の初入港時には宮下宗一郎むつ市長ら地元関係者も駆け付け、盛大に歓迎式典を行った。最新の装備を搭載する同艦は「北の守り」にとって大きな存在であり、一般公開の日にはこれまでにないほど多くの地元住民が見学に訪れるなど、「しらぬい」はすでに大湊の人々から期待を一身に受けている。
地域に密着した大湊基地では、隊員がむつ市の「大湊ネブタ祭り」に参加しているほか、各艦艇のカレーレシピを地元の店舗に提供するなど、日頃から地元と良い関係を築いている。
また、防災にも力を入れ、自衛隊の防災訓練には自治体関係者を招き、大湊所在部隊の災害時の対処能力について理解促進を図っている。
災害救援で自衛隊への国民の期待が高まっている中、「大湊地方隊としても、地域の期待にどう応えていくかを常に考えていかねばならない」と近藤将補は話し、自衛隊の・・・
防衛関連ニュース
<「北の防衛」担う海自大湊基地③>
地元コミュニティーFM「海上自衛隊アワー」
パーソナリティー甲地3曹
2019年10月23日更新
陸奥湾で行われた海自の「機雷戦訓練」を見学した基地モニターに感想を聞く甲地美晴3曹(大湊地方総監部広報係)(左)=掃海艇「あおしま」艇上で
明るく楽しく、自衛隊と地元・下北の魅力を発信
大監広報係の甲地美晴3曹(青森県八戸市出身)も大湊地区で輝きを放っている女性自衛官の一人だ。
甲地3曹は、地元コミュニティーFMのラジオ番組「海上自衛隊アワー」のパーソナリティーを務めており、放送を通じて海自の活動や隊員の素顔などを紹介し、自衛隊を広くPRしている。
大湊勤務3年目となった今春、「むつ市の魅力を全国に発信したい」という思いから、職場の先輩の推薦を受け、むつ市観光協会が主催する「ミスおしまこ」にも応募し、見事3人のうちの一人に選ばれた。
総監部での・・・