祖母は京都出身で、ものすごい甘党だった。
我が家へ泊まりに来る時は必ず、鼓月のお菓子と豆政の五色豆、その他大量の和菓子を手土産に持って来ていた。
私も含めて家族全員、甘い物が苦手で誰も食べずにいたら、祖母が悲しげな顔をして「誰も食べへんのやな…」と、呟いた。
ダアッΣ(-∀-;)![あせる](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/029.gif)
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ばあちゃんに悲しい思いをさせたらアカン。
私は慌てて、目の前の饅頭やら何やらをガッツガッツと頬張り、精一杯の嘘をついた。
『ばあちゃん。めっちゃ美味しいで~♪』と。
以来、祖母の手土産が倍増した。
和菓子が私の好物なのだと勘違いしたらしい。
「美味しいか~?(*・∀・*)」って、喜びと期待に満ち溢れた目で見つめてくる祖母を前に、ひたすら必死に和菓子を食べ続けねばならないのは、もはや苦行。
正直、不味さしか感じていなかった。
子供の頃は知らなかったけれど、鼓月と豆政のお菓子は少々お高くて、手土産としては上品。
私も、お盆のお供え等には鼓月のお菓子を送っている。
祖母亡き後、何十年も口にしていなかったのだが、先日、頂き物をして久しぶりに食べた。
なんとも、懐かしい味がして、目を細めている祖母の顔が、鮮明に思い出された。
ばあちゃん。
今なら、わかるよ。
お菓子の上質さも、ばあちゃんの嬉しさも。
祖母は、やたらに「ありがとう」と頭を下げる人だった。
「ごめんなさい。ありがとう。この言葉は大事なんやで。」と、よく言っていた。
今にして思う。
誰にでも自慢できる、素敵なおばあちゃんだった。