BORDER FREE cosmeticsセット

 


光が射す方向に向って、私と彼は泳いだ。彼が私に気づいているかどうかは不明だったが、私の方をチラッと振り返って、口を開けて笑った。その笑顔は、私が恋い焦がれた頃のまま何ひとつ変わっていなかった。




私は彼の背中を追いかけて、懸命に泳いだ。健康的な彼のお尻は肉づきがよく、シルクのようになめらかだった。彼はその長い手足を器用につかって、すいすいと進んでいった。



私は彼に触れてみたいと思った。少しの間でいいから抱き合いたい、と思った。なのに、私と彼の距離は一向に縮まらなかった。私の身体は私の意思に反して、ゆっくりと海底のほうへと落ちていった。彼に追いつこうと私が藻掻いても、意味はなかった。



目が覚めると、カーテンの隙間から朝日が射し込んできていた。しずかな部屋のなかで、心臓の音だけがうるさかった。



ひさびさに会った初恋の相手は裸だった。そんなことしたら、ダメだよ神様。

私は下着のなかでぐっしょりと濡れていた。夢の中でも私は彼に触れることを許されなかった。あぁ、これが運命ってやつなのかなー。私はやり切れない思いを抱えながら、ティッシュに手を伸ばした。