幼い頃アニメ番組「フランダースの犬」をほぼ毎回見ていました。「フランダースの犬」といえば最終回の感動シーンですが私が幼心に最も印象に残ったのは後に主人公の少年ネロの愛犬となるパトラッシュは当初、金物屋のアンソールに飼われていました。

 この金物屋のアンソールは粗暴で金物をギッシリ積んだ荷車を飼い犬のパトラッシュに引かせ自分はただ歩くだけで少しでも気に入らない事があれば容赦無く手に持ったムチでパトラッシュを叩き虐待していました。更に稼いだお金で自分は酒を飲むばかりでパトラッシュには餌もろくに与えず水さえも飲ませない有様でした。ここまで書いただけで当時この番組をリアルで見た私は幼心に金物屋のアンソールというキャラクターは物凄く強烈に感じました。

 第1話でアンソールが酒場で酒を飲んである間に通り掛ったネロは荷車を引き続け疲れ切ったパトラッシュに水を飲ませようとした瞬間アンソールは余計な事をするなと言わんばかりに見ず知らずの子供であるネロを突き飛ばしました。第6話で遂にパトラッシュは遂に力尽き倒れてしまいアンソールはパトラッシュが死んだとばかり思って土手に蹴飛ばして自分で荷車を引いて去ってしまいます。アンソールから解放されたパトラッシュですが瀕死の状態で、このまま放置されたらパトラッシュの生命(いのち)は風前の灯・・・。そこにネロがパトラッシュを助け必死の看病でパトラッシュは見事に回復します。

 ネロによって回復したパトラッシュは牛乳缶の荷車を運ぶ手伝いをしながらネロと祖父のジェハンと共に平和な日々を過ごしましたが後にアンソールと再会してしまいネロとジェハンに対しパトラッシュの所有権を争いジェハンが分割払いという条件で何とかネロの元に返されましたが、その後もアンソールは少しでも分割の支払いが遅れるたびに現れますが、いつしか登場しなくなりました。一説によると酒場で喧嘩して死亡したとされています。


 このように金物屋のアンソールは番組の強烈な存在となり当時、私は幼心に「金物屋」の人は皆、アンソールのように根性悪い人だと思い込んでしまいました。そして、そのように思い込んだのは「フランダースの犬」を見た全国の視聴者も同じで金物商に対する蔑視や嫌がらせ行為が起こり社会現象になったみたいです。


「フランダースの犬」の名悪役、金物屋のアンソール。

彼の金物商のインパクトは番組内だけに留まらなかった・・・。