「必殺仕事人」第13話の「矢で狙う標的は仕事人か?」はラストで仕事人全員が掟を破る話です。

 仕事人やその他の裏稼業には厳守する掟があり特に絶対に守らなければならない掟は①受けた仕事は必ずやり遂げる②タダで仕事はしない③仕損じは許さない④正体は明かさない⑤正体を知った者または殺しの現場を目撃した者は例え子供でもその場で始末する⑥頼み料以外のお金には手をつけない。他にもまだ掟は幾つかあるが、この6つは最低限度守らなければならないはずです。

 13話では山鹿の才蔵が元締として仕切る闇組織とおとわ(山田五十鈴)率いる仕事人との裏稼業同士の抗争で、いわば江戸の縄張り争いとも言える。必殺シリーズにおいて仕事人と闇組織が対立する話はよくありますが、この13話もその中のひとつのエピソードでストーリーは元仕事人ましらの又蔵が弓矢で射殺される事件が起き後日、又蔵の妻と接触したおとわは又蔵の妻から殺しを依頼された直後、又蔵の妻も弓矢で射殺されてしまう。そして闇組織は、おとわを仕事人と見抜き、おとわ、主水、秀が矢で狙われ左門(伊吹吾郎)のみが正体に気付かれていないと思ったのも束の間、闇組織の元締・才蔵に見抜かれてしまう。

 そして才蔵は、おとわに江戸の裏稼業は全て自分達が取り仕切る条件に千両で取引するが交渉は決裂に終わる。そんな中、才蔵の一味に又蔵の妻と瓜二つの顔を持つ女の殺し屋が現れ、その女は又蔵の妻とは双子姉妹であった。その女は才蔵の立ち寄る場所を教えて始末して欲しいと依頼する。

 主水達は才蔵の立ち寄る場所を決戦場にし白昼、採堀場で仕事人と闇組織の決闘が繰り広げられる。しかし才蔵の一味の中には、まだ年端も行かない少女までいて左門は自分の愛娘とそんなに歳の変わらない少女を見て、やりきれない思いの中、才蔵一味を仕置きしていく。そして才蔵を始末してくれと依頼した女が自分の亭主を失いたくない気持ちから左門と戦おうとした亭主を必死で制止するも亭主は左門に始末され仲間を裏切った女は背後から仲間の少女に矢を撃たれ始末される。

 才蔵は主水に仕置きされると少女とその母親が主水とおとわを矢で狙う。背後から秀が迫り母親は少女に「お逃げ!!」と言って秀に仕置きされると少女は逃げ去り秀はともかく主水も左門もおとわもどうすることも出来ず逃げていく少女をただ見つめるだけだった。しかし、この少女は本当に逃がしても良かったのか?という疑問が残ります。

 確かに主水達は殺しの現場を見られたら例え子供でもその場で始末をするという掟を破ったのもありますが逃げた少女は、この時でさえ殺し屋で、いまは年端も行かない少女だがいずれは大人に成長しプロの殺し屋になって母親や仲間の復讐に舞い戻ってもおかしくないのだ。少女は主水達の顔を完全に覚えたし全く危険はないという保証はないはずです。





「必殺仕事人」初期のメンバー。

中央にいるのは初代元締の鹿蔵。演じるは中村雁治郎さんで女優、中村玉緒さんのお父さん。

その隣は現在「笑点」で座布団運びをしているあの人です。