私がプロレスファンになった小学生時代、タイガー戸口という日本人離れした巨漢レスラーがとても印象に残った。後で知った事だが彼は、ほんの少し前まで全日本プロレスに所属し新日本プロレスへ移籍したばかりだった。

 多くのプロレスファンは彼をタイガー戸口というよりも別のリングネームのキム・ドクの方が印象深いと思うが私はどうしてもタイガー戸口である。未だに伝説と言われるあの田園コロシアムにおいてスタン・ハンセンとアンドレ・ザ・ジャイアントのド迫力マッチがセミファイナルでおこなわれ、メインでは猪木とのシングルマッチの相手を務めたのである。試合前、ラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇の国際軍団がリングに上がり新日への参加をアピールするという有名な「こんばんは事件」である。

 しかし、そんな試合前のアクシデントとは別にいざ試合が始まるとタイガー戸口は猪木に先制攻撃で思いっきりのいいファイトを展開させた。結局は猪木の卍固めで敗れたもののタイガー戸口のレスラーとしての株は上がった。
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田園コロシアムのメインで猪木と対戦


 以後、新日本の隠し兵器として、いざという時には頼もしい助っ人レスラーとしてタイガー戸口は存在感をアピールした。その証拠に同じ日本人離れした巨漢レスラーのキラー・カーンとタッグを組みタッグリーグ戦に出場。当時、無敵と言われた猪木、ハルク・ホーガン組と決勝戦をおこない、何と30分を超える程の試合展開に驚きました。タイガー戸口にとってこの時が一番輝いた時期ではないかと思います。

 その後、維新軍団入りし新日正規軍に牙を向いたこともあったが、新日本が選手大量離脱で危うくなった時は正規軍に戻り強力な助っ人になるなど、やはり頼もしい存在に変わりなかったが、いつしか彼は日本のリングから遠ざかってしまう。海外に長く主戦場にして1991年6月に6年半振りにキム・ドクとして新日本に帰ってきたが、この頃になると武藤、蝶野、橋本の闘魂三銃士や馳、佐々木健介などの若い世代の活躍が目立ち、彼は以前のような活躍の場はほとんど与えられなかったためインディー団体を転戦するようになる。

 一時は全日本プロレスにもUターンはするものの新日本と同じように活躍の場は与えられず、前座試合が多くなってしまった。それでも彼は今も頑張り続けている。私にとってキム・ドク=タイガー戸口は決して嫌いになれないレスラーの一人である。