学校は仕事が終わってすぐに、制服に
着替えてバスに乗っていく。

京浜のバスの定期を買い、月曜日から金曜日
まで6時から9時半まで授業を受ける。

そこには病棟は違うも同じ病院に働く
同じく准看護婦の仲間が数人いた。

すぐに、仲良くなったのは同じ年の
福島出身の菊地ちゃん、群馬出身の
前原奈保子ちゃん。

そして私より3歳年上の中野さん。

彼女は出身地を言いたがらず、
別に興味なかったのでそのままで
良かったのに、菊地ちゃんが
聞きたがり、同じく福島とわかる。

別に隠さなくても。

菊地ちゃんは同郷のよしみで
彼女になつこうとするが、

「私はもう3年も東京にいるの」

と変なプライドを言い出す。

私にはその心理、全くわからなかった。
同じ学校、同じ准看護婦でいいだろうと。

でも、ある日私の部屋に来た中野さんが
私の写真立てに食いついた。

これは彼氏なのかと。
別な男を飾る方がおかしいだろう。

そうだよ、地元の彼氏。そう言うと
「私は逆に飾ると寂しいから無理」
と言う。

ふーん、色んな考えあるものだとしか
思わなかった。
本当にプライド高いな、と。

私はそれより菊地ちゃんと前原ちゃんと
同じ歳もあってどんどん仲良くなる。

中野さんは、整形外来勤務なので
病棟勤務の私達よりは違うし、
歳上なのでやはり溝はあった。

そして、この夜間学部50人、
ここで私は今後因縁を持つ
由起子ちゃんと智子ちゃんと会う。

由起子ちゃんは大人っぽく
女からみても色っぽい子だった。

引き換え智子ちゃんは、暗く
誰とも交わらない雰囲気の子。

智子ちゃんと会話しても多分
つまらないと先入観があり、
離れたところで見ていたが

ある日トイレですれ違った。
ハンカチを忘れた私は手を
ぶんぶんさせて乾かそうとした。

笑って「使って」と智子ちゃん。
「ありがとう!ゴメンね 」
そう受けとると凄く良い匂い。

「このハンカチ良い匂い!」
と言うと、
「線香臭くない?」と言う。

「え?なんで?」と言うと、
「仏壇の部屋から持ってきたの」
と言う。

それくらいじゃ匂いなんか
しないでしょー!とお互い笑った。

ここで智子ちゃんは話しやすい子
と気付き、仲良くなっていく。

彼女の目は薄い青で気になって
「智子ちゃんハーフ?」

「ううん純粋な広島人だよ?
目はね、私病気あるんだよね。
だからかな?」と笑う。 




私の人生最後の学生時代は  



こんな感じで始まった。



この後どんな、運命が交差するのか



まだまだわからない素直な子供だった。



幼い微熱   4 ハチミツ





美優