この前、子どもがふとこんなことを言ってきた。
「ばあばが言ってたけど、本当はお父さんってお金持ってるんでしょ?」
……いやいやいや(笑)
思わず笑ってしまった。
でも同時に、ちょっと驚きもした。
え、どこをどう見たらそうなる?と。
こっちはこれまでの人生、
わりとちゃんと“お金がない側の人生”を歩いてきている。
就職氷河期ど真ん中。
今みたいに「売り手市場」なんて言葉とは無縁で、
そもそも“スタートラインにすら立てない”ような時代だった。
面接に行っても、普通にすっぽかされる。
合否の連絡すら来ないなんてことも、
珍しくなかった。
あの頃はそれが「社会」だった。
なんとか仕事をしようと、
アルバイトやパートを転々として。
社会保険と国保・国年の違いすら
よくわからないまま働いて
気づけば損をしていたり。
労働条件も、平気で嘘をつかれる。
今思えば「それおかしいでしょ」ってことも、
当時は飲み込むしかなかった。
選ぶ余裕なんて、なかったから。
そんな積み重ねの中で、
ようやく手に入れた今の生活。
正直に言えば、ギリギリ。
余裕なんてないし、
不安はずっと横にいる。
「もし何かあったらどうする?」っていう気持ちは、
たぶんこれからも消えないと思う。
だからこそ、
子どもに「実はお金持ってるんでしょ?」なんて言われると、
驚き半分、笑い半分、
そしてちょっとだけ思う。
「いや、何を見てそう思ったんだ…?」って(笑)
しかも、これを言ったのが“ばあば発信”らしい。
いやいや、やめてくれと。
変な夢を持たせないでほしい。
こっちは現実を生きているんだ、と。
とはいえ。
自分もいずれ、
そういう“適当なことを言う親”に
なっていくのかもしれない。
記憶って都合よく書き換えられるし、
苦労も時間が経つと、どこか遠くの話になる。
そう考えると、ちょっと怖い。
結局そのあと、子どもにはちゃんと伝えた。
「うちはお金ないよ」って。
ちょっと惨めな気持ちにもなりながら、
でもこれは、ちゃんと伝えないといけないことだと思った。
別に、どう思ってほしいとかはない。
ただ一つだけ言うなら、
「お金は、自分で稼ぐしかない」
それだけ。
夢を持つのもいいし、
楽な道を探すのもいい。
でも最終的には、
自分の足で立つしかない。
これは、氷河期世代を生きてきた人間の、
わりとシンプルな実感だと思う。
とはいえ。
だからといって、
悲観してほしいわけでもない。
お金がなくても、
なんとかここまで生きてこれたのも事実だし。
苦しかったけど、
それなりに笑えることもあった。
今回みたいに、
「お父さんって実は金持ちなんでしょ?」
なんて言われて、
思わず笑ってしまうくらいには。
まあ、現実は厳しいけど。
それでも、なんとかやっていくしかないし、
なんとかやっていけるものでもある。
そういうもんだと思ってる。
とりあえず今は、
「いや、ほんとにお金ないからな(笑)」
って、もう一回だけ言っておこうと思う。