先ほどの鳥の話。
せっかく思い出したんでもう少し詳しく。

中学校一年生の頃だったか、
姉が「セキセイインコが飼いたい」と言い出し、
家族は概ね賛成。

なのに、姉と仲が悪かった僕だけは猛反対。
実のところ生き物は好きだったし、
インコにも興味はあったのだが、
姉が言うことやることなすこと全部嫌いな時期だった。

でも、多勢に無勢。
結局押し切られて黄色と緑のセキセイインコを飼うことに。
まあ嫌ではない。

で、ある日、
家族が一泊二日で旅行に出かけると。
反抗期全開の僕は
「飯代だけ置いていって、俺は行かない」
とワカランチンを言って居残ることに。

翌日が運命の日。
僕が居間でテレビを見ていたら、

突然インコが死んだ。

もう、何の前触れもなく。
とまり木からぽとりと落ちて動かない。
びっくりしたし、可哀想で泣いたりもした。

でも時間がたって、
僕の頭のなかに浮かんだことは

「たまたま僕だけしか家にいない日に
 昨日まで元気だったインコが死んだ。
 僕だけがインコを飼うことに大反対だった
 行きがけにも、インコに餌をやる係を拒否して揉めたばかり。
 結果、飯代上乗せで渋々やることになった
 インコが死んだところを見たのは僕だけ」

さて、インコの死因がわからず
他殺の線も考慮して捜査が進んだ場合
容疑者は、、、

インコの亡骸をお気に入りのハンカチにつつんで
自室の机の引き出しに一旦仕舞い
帰宅した家族に
「インコが逃げた」と言った。

故インコは生前に何度か
器用にくちばしを使って
鳥かごの窓を開け逃亡したことがあったので
信じてもらえた。
姉は少し疑っていたかもしれないが。

で、みんなが寝静まった頃を見計らい
引き出しからインコのご遺体を持って外へ出て
庭の片隅に埋めて、
僕にだけ解る石を置いて
軽く手を合わせて、少し泣いて寝た。

しばらくは、後ろめたさと恐怖から
姉と一緒に何度もインコを探しに外に出たが
つい、石を見てしまうので
ドキドキしたことを覚えている。

時は流れて、20年後。
30歳を過ぎた頃のお話。

弟と昔話をしていたら、
昔見たおかしな夢の話題になり

弟「昔見た変な夢といえばね、
  ずい分前にホンの一時だけ、
  うちでインコ飼ってたじゃない?」

僕「?」
弟「ほら、旅行中に逃げたやつ」
僕「!」
弟「姉貴のインコだったし、
  それほど気にしてないつもりだったんだけど
  深層心理的にはショックだったのかな?
  あのばん見た夢が変でさ」
僕「ど、どんな夢」
弟「真夜中、兄貴が突然むくりと目を覚まして
  机の引き出しからインコの死骸を持って
  庭に埋めに行くって言う悪夢でね(苦笑)」
僕「!!!」
弟「そんなバカな(笑)って話なんだけど
  あれから20年、熱とか出すたびに
  そのばかみたいな夢見るんだよ(笑)」

ですって。
弟よそれは夢じゃないぞ。
見られてたんだねえ。
どうでもいい話が長いね。