思い出 | ホントはどうなの!?

思い出

中学の頃は学ランだった。


学ランには様々な思い出が詰まっている。


中学生になると誰しも一度は、はしかのごとく不良に憧れる。

もちろん、80年代に学生だった人達に限った現象だとは思うが。


「ビーバップ・ハイスクール」が流行っていた時代背景も

一億総不良化に拍車を駆けた大きなファクターであろう。


ご多分に漏れず青臭い当時の僕も、

不良と言われる先輩に憧れた。


特にそういう先輩達が好んで着用している

短ランやボンタンなんかは、もう垂涎の的だった。


どこで売っているのか知りたくて

授業なんかよりもその事で頭が一杯だった。


そんな毎日を送り、たゆまぬ努力の結果

不良な先輩方とお近づきになれたある日


噂の不良アイテムを売っているという

お店の情報を聞きだす事ができた。


放課後、早速チャリンコをとばして街まででかけた。


その店は『男性専科○○』という

いわゆるチンピラファッション専門のお店だった。


『怖いお兄さんや本職(ヤクザ)もよく訪れるよ』という

先輩のからかい半分の話を思い出しながら

中1の僕はびびりつつドアに手をかけた。


その店に入った瞬間、大人の仲間入りができたような、

それでいて後ろめたいような、

複雑な感情が沸いて出た。


そんな感情を無理やり押し込めながら

目的のものを探し始めた。


店の奥に学制服コーナーがあった。


長かったり短かったりする上着、

極端に太いものや急激に細くなるズボン


それらが、まるで煌びやかな宝石のごとく

陳列されていた。


レジ前にいる強面の店員の

刺すような視線を感じながら

生まれて初めて短ランやボンタンを試着した。


着るだけで強くなった気がした。


(※ちなみに、似たような現象で

「キムタクが着ている服と同じものを着ていると

なぜだかモテ度があがる気がする」というものがある。)


試着はしてみたものの、

当時の僕のおこづかいでは、到底買える訳もなく

カタログだけをもらって足早に店を後にした。


おっかないお兄さん達が店に入ってきたのも

足を急がせたひとつの要因だった。



家に帰ると、早速カタログを開いた。


「凶悪」「ロシアン・ルーレット」「ヒロシⅡ」といった

不良の為の広辞苑的なネーミングの付いた

短ランやボンタンに目を奪われていった。


ワタリ:42cm
スソ:20cm


当時、こんな数字に

全力で思いを馳せていた自分を、

決して嫌いにはなれない。



その後、卒業していく先輩に制服を譲ってもらった。


先輩の手前、大げさに喜んでもらった短ラン&ボンタンだったが、

あまりにもボロすぎて、一度も袖を通さなかった事は

今でもトップシークレットだ。




余談だが、当時の不良たちが好んだ香水が「タクティクス」だった。

最近、この香りと街ですれ違った時に、

そんなほろ苦い思い出がフラッシュバックした。


嗅覚で思い出される記憶は、

意外と鮮明なものだと再認識した。