先日のWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ、挑戦者の佐藤洋太選手みごとタイトル奪取しましたね。
これで日本人のボクシング世界チャンピオンは現在9人になりました。\(^▽^)/
さて、前回は亀田興毅が属するWBAというボクシング団体が、お金に目が眩んでチャンピオンを乱立させているという話をしました。
今回はいよいよ本題です。そんなWBAという団体の中で、亀田興毅がチャンピオンになるまでの経緯をお話します。
これを聞けば「なぜ亀田興毅の実力がボクシング業界の中で評価が低いのか」の理由が分かるのではないかと思います。
WBAは日本で活躍している亀田兄弟に対し早い時期から目をつけていました。
基本的にお金に目が無いWBA、「これは金のなる木だぞ」とジャパンマネーを嗅ぎつけたわけです。
亀田陣営も当時所属していた協栄ジムやメキシコのプロモーションを通じ、WBAと密接な関係を築いていきます。
お互いにWIN-WINの関係を築いてきた両陣営、結果、亀田兄弟はWBAの中では他の選手に比べ特に優遇されるようになったのです。
ボクサーが所属団体に優遇されるとは、どういうことか?
…とお思いの方、ここで言う優遇とは『世界タイトルマッチのチャンスが優先的に回ってくる』とか『負けない相手と試合を組んでくれる』とかが、それに当たります。
具体的に亀田兄弟がどんな風に優遇されてきたかは、過去に遡ると沢山あるのですが、今回はその顕著な例として、亀田興毅が現在のバンタム級チャンピオンになった経緯を中心にお話ししていきましょう。
まず亀田興毅がチャンピオンになる前の正規のWBA世界バンタム級チャンピオンはアンセルモ・モレノという選手でした。
この選手非常に強いチャンピオンで、2008年5月にチャンピオンを獲得して以来、防衛戦を勝ち続けてきました。
7度目の防衛に成功した2010年8月、WBAはアンセルモ・モレノをスーパーチャンピオンへ昇格させました。
スーパーチャンピオンとは前回説明した通り、正規のチャンピオンの一段上に位置づけられる、その名の通り”スーパー”なチャンピオンという意味です。
さて、正規チャンピオンがスーパーチャンピオンに昇格すると、なぜか正規チャンピオンの椅子が空位となります。
空位となった正規チャンピオンの座をかけて、WBAは次の2名の選手を指名し2010年12月に王座決定戦を行うことにしました。
■■■WBA世界バンタム級王座決定戦■■■
◆WBA世界バンタム級2位 亀田興毅
VS
◆WBA世界バンタム級5位 アレクサンデル・ムニョス
この試合は日本でも世界タイトルマッチとして大々的に宣伝され、生中継でテレビ放送されていたのはご存知の通りです。
しかしこの試合は世界チャンピオンをかけた試合とはいえ、実は上記の経緯からも分かる通り、スーパーチャンピオンの次に位置づけられる2番手のチャンピオンを決める試合なのです。
このことは、テレビやニュースでは誰も言わない事実です。
それだけではありません。そもそも王座決定戦として、この2人が指名された経緯が非常に微妙なのです。
本来、空位のチャンピオンを争う王座決定戦はランキング1位と2位の選手など、その階級で実績のある選手が選ばれます。
この2人はそれに相応しい選手なのか、この時点での経歴をみてみましょう。
◆WBA世界バンタム級2位 亀田興毅
バンタム級より下の階級である、ライトフライ級、フライ級のチャンピオン
であったが、バンタム級での試合経験はなかった。2010年12月に
行われるタイトル戦の2ヶ月前に、バンタム級の2位にランクイン。
◆WBA世界バンタム級5位 アレクサンデル・ムニョス
バンタム級より下の階級であるスーパーフライ級で世界チャンピオン
となる。デビューから連続KO勝ちを続け、2000年代前半には非常に
強いチャンピオンとして一時代を築いた。
2000年台後半に引退し町役場で働いていたが、2010年12月に
行われるタイトル戦の2ヶ月前に突如復帰し、バンタム級5位に
ランクイン。
過去の実績により、階級を転向した選手がいきなりランキング上位に入ることはしばしばあるのですが、このアレクサンデル・ムニョス選手については少々役不足だったのではないでしょうか。
肝心の試合のほうは、ムニョス選手に過去の強いチャンピオンの面影は無く、結果は亀田興毅の判定勝ち。みごと(?)3階級制覇を達成したわけです。
この亀田選手がバンタム級チャンピオンになった経緯、噛み砕いて整理すると、こんな感じです。
『あるところに強い世界チャンピオンがいました。
彼はその強さが評価され、普通のの世界チャンピオンから
スーパー世界チャンピオンに昇格しました。
そこで空席となったのが、世界で2番目に強い普通の世界
チャンピオンの席。この席をめぐってなんだか良く分からない
基準で選ばれたポッと出の2人の選手が試合を行いました。
その試合で勝って、亀田興毅選手は世界チャンピオンの
肩書きを手にいれました。』
このマッチメイクはボクシング業界でも議論を呼びました。
試合の後日、新聞にも「バンタムが泣いている」という見出しの記事が掲載され、日本が誇る伝統のバンタム級でこのような安易なマッチメイク(一時は引退していたベテランとの不可解な王座決定戦)で世界チャンピオンを誕生させていいのか、というような批判的な記事が掲載されました。
さらに、さらに、チャンピオンになった後の防衛戦もまた酷いのです。
チャンピオンになったあとの亀田興毅の防衛ロード、対戦相手は以下のような選手です。
①WBAバンタム級14位:ダニエル・ディアス
②WBAバンタム級8位:ダビド・デラモア
③WBAバンタム級12位:マリオ・マシアス
④WBAバンタム級12位:ノルディー・マナカネ(2012/4/4対戦予定)
チャンピオンへの挑戦権はランキング1位から15位まであるのですが、ことどとく下位ランクの選手ばかりです。
しかもWBA得意の「試合前、突然ランクイン」も横行。ランク外の無名選手が試合の数ヶ月前に突然ランクインしたりしますので、その実力は怪しい事この上なしです。
本来このように弱い選手ばかり選んで防衛を続けないように、チャンピオンは9ヶ月以内にランキング1位の選手(正しくはWBAが指名した選手)と試合をしなければならないという義務があるのですが、WBAはなぜがそれも黙殺。現在に至っています。
今回のタイトルにある「作られたチャンピオン」という意味が少しは理解して頂けたでしょうか。
このような状況ですから、亀田興毅がテレビで発言している数々のビッグマウスを聞いていても、ボクシングファンは白けるばかりなのです(^^;)
(まだまだ、つづく)
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