オンボロ高校は青春の巣窟、
それこそトンデもない梁山泊だった。
それ以来彼とは気心が知れて、若い頃から地元で苦楽を共にした数少ない仲間だった。
よくドライブした。相談事はたいがい車の中で片付けた。
「一寸待ってくれ! すぐ終わるから!」
予約してあったとみえて街角で消えた彼が、何か包装紙でくるまれた大きなギフト商品を持って、すぐ帰ってきた。
「それ、何?」
「・・・、子供が待っとるがい!」
「・・? あぁ!」
自分には待っている子供がいない。世間並みの暮らしをしている彼が羨ましかった。
彼にこそ言わなかったが、自分はすでに新宿歌舞伎町も経験しているし、もう人生を踏み外していた。
あの時、あの平穏な街角のクリスマスイブが身に沁みた。
両親は自分を大事にしてくれた。
内弁慶である。
子供の頃から自分中心に世の中が回っていた。
考えてみれば、自分とは血も繋がっていないのに、
可笑しな夫婦である。
まさか、こんな平穏な老後が訪れるなんて・・・。
今にして思えば、これ、
両親の、自分への手綱さばきが絶妙で、その御陰。
まぁ、自分の目の黒い内は、もう損得勘定を離れて、
両親に教わったとおり、保全管理の、この野良仕事を続行してみるか・・?