親の手綱さばき | 10go9

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オンボロ高校は青春の巣窟、

それこそトンデもない梁山泊だった。

それ以来彼とは気心が知れて、若い頃から地元で苦楽を共にした数少ない仲間だった。

よくドライブした。相談事はたいがい車の中で片付けた。

 

「一寸待ってくれ! すぐ終わるから!」

予約してあったとみえて街角で消えた彼が、何か包装紙でくるまれた大きなギフト商品を持って、すぐ帰ってきた。

「それ、何?」

「・・・、子供が待っとるがい!」

「・・? あぁ!」

自分には待っている子供がいない。世間並みの暮らしをしている彼が羨ましかった。

彼にこそ言わなかったが、自分はすでに新宿歌舞伎町も経験しているし、もう人生を踏み外していた。

あの時、あの平穏な街角のクリスマスイブが身に沁みた。

 

両親は自分を大事にしてくれた。

内弁慶である。

子供の頃から自分中心に世の中が回っていた。

考えてみれば、自分とは血も繋がっていないのに、

可笑しな夫婦である。

 

まさか、こんな平穏な老後が訪れるなんて・・・。

今にして思えば、これ、

両親の、自分への手綱さばきが絶妙で、その御陰。

 

まぁ、自分の目の黒い内は、もう損得勘定を離れて、

両親に教わったとおり、保全管理の、この野良仕事を続行してみるか・・?