校舎老朽にして・・ | 10go9

10go9

ブログの説明を入力します。

入学してみて・・、

たしかにオンボロ高校。

すでに老朽。もう、朽ちる寸前。

 

凸凹と継ぎ接ぎだらけの廊下を歩くと、ファファとスプリングする。雨漏りが激しくなると、廊下、教室、各所に置いてあるバケツの嘲笑的交響楽が激しく鳴り響く。

先生は雨の廊下を傘差して、教室から教室へ、まるで渡り鳥のように現れて、平然と授業をお始めになる。

 

いくら何でも、酷すぎるではないか。

万事休す。もはや、刀折れ矢尽きた。

僕らは、

「殿、落城に御座りまする!!」

と、叫びたかった。

すると先生は、

「向学の意欲さえ強ければ、環境の不備は克服出来る。偉人は皆、逆境を克服しておる!」

と、仰る。

「オンボロ高校というだけで、早々と自分の能力に見切りをつけるなよ! 一時的敗北に見舞われたからといって、卑屈になるな! 起ち上がるンだ! 受験戦争は何人をもの人を陥れたが、君たちは起ち上がるンだ!! やろうとすることは何だって出来る。逆境に強く、大胆に生きるのだ。そうすれば人生から幾らでも報酬は引き出せる。狭い了見に閉じこもってないで、さぁ、元気を出して、夢に人生を賭けて、もっと大きく生きるのだ!」

 

老朽化が進み、日に日に危険の度が増す教室で、雨漏りが激しければ激しいほど、先生は僕らに不屈不倒の精神を教えるのだ。

『国破れて忠臣あり、家貧しく孝子しあり、校舎老朽にして人才出づ』

先生方は教壇に立ち生徒たちを励ます一方で、町村、県を動かし新校舎建設への原動力として、地元教育の旋風を担われた。

 

これじゃ、オンボロ高校で、

二宮金次郎やリンカーンが捲し立てているようなもの。

これじゃ、あきらかに、場違い。

まるで、掃き溜めの鶴。

僕らはそんな先生方を尊敬したし、羨望の目を持って眺めた。