人相のいい人と、そうでない人がいる。
顔には、性格や運勢が現れる。
苦労した人と、そうでない人は、
顔を見ればわかる。
歳を重ねるにつれて、
その生き様や、その心の在り方が、顔に表れる。
男の顔は、履歴書である。
・・・とは言うが、
自分は元々、若専(業界隠語・・?)で、
歳を重ねた老人の顔は、あまり好きじゃない。(笑)
中学生の頃、この本は読んでおけ!
と、まわりの人から薦められた。だから、本は手元にあった。
でも別段読まなくても、不自由はしなかった。
勉学は好きじゃない。でもまぁ後、一生は働き詰めだから、
若いときぐらいもっと知識を広めて、と親のすすめもあって高校受験。でもこれ下手すると、危ないと思ったその晩秋、そばに転がっていた妙な物に目が止まった。
時間が無い。こんな物に関わっているヒマがない。
なのにそれがすごく新鮮に見えた。
読み出したら、止まらない。
こんなすごい世界があるのか、と思った。
それが漱石の『坊ちゃん』だった。
「厄介だな。それじゃ濡れ衣を着るンだね。面白くもない。天道是か非かだ」
「まぁ、もう二三日様子を見ようじゃないか。それでいよいよとなったら、湯の町で取って抑えるより仕方あるまい」
「喧嘩事件は、喧嘩事件としてか」
生き辛くて、人生のガイドラインが全く見えてこなかったが、
漱石の『坊ちゃん』にいよいよ心酔したのは、それからだ。
高校を出て、一寸だけ社会人を経験して、東京へ逃げ出した。
漱石のこの写真を入手したのは、その東京放浪中だった。
これを何処で入手したのか?
神田の古本屋さん? それとも銀座松阪屋で開催されていた
『夏目漱石展』でだったのか、
もう思い出せない。
やっぱり偉人はちがう。
漱石はすごい。
わずか五十年の人生、
なのにこんなに良く出来た、立派な顔を作った。