戦争を知らないが、敗戦一年前の生まれである。
壊滅からの復興へ。
それが自分の生育史と重なっている。
扁額に、襖絵に、
カレンダーに、そして唱歌にと、
幼少期から、生育史に寄り添い、
けなげに、すっくと立っている富士は、美しかった。
貧しくとも、アイデンティティーは日本人。
その少年が高校生になって、
おやっ?
と思った。
ただ、読んでいるだけなのに・・、
読むって、そういうことなのかもしれないが・・・。
そのタイミング、その捉え方というのか、
この時空感覚の、旨さ、というか、
空気の読み方、というか、
それに驚いた!!
アイデンティティー、その根幹をなす富士が、
いい時空感覚をともなって、面白可笑しく登場してきたからだ。
人道的で、しかも適度な距離感覚を保ちつつも、
すごい親近感と、リアリティーをともなって、
迫ってきたのには、驚いた。
もう、カルチャーショックと言っていい。
読んだのは、太宰治の『富嶽百景』
一体、この時空って、何だろう?
この物の見方って、言うか、
物の考え方というか、
この空気の読み方って、一体、何だろう?
そして、本当のところ、
自分の運命を左右しかねない、この不思議な時空感覚、
そして、この可笑しな物の見方って、一体何なのか?
事、自分自身に関して言えば、
もし、自分が居なければ、
この世を認知する存在が,何処にもない・・、はずなのに・・、
自分が居るからこそ、この世を認知出来ているのに・・・。
思い、戸惑い、迷っている矢先に、
何か,世の中っていうか、人生というか、その空気の読み方っていうか、
太宰治に、
違いのわかる大人を、すごく意識した。
あの頃は、純情だった。(笑)
今でも、その聖地を犯したくない気もあるし・・。
いきなり、その聖地、
御坂峠の天下茶屋に、行ったり何ぞは、しない!
でも、もう老骨、昭和の遺物、シーラカンス。(笑)
自分は今、レンタカーを借りて、河口湖周辺にいる。
もう射程圏内と言っていい。
時間的制約もある。気象条件だって気もになる。
もう、そろそろ、いい頃だと思う。(笑)
自分は、その聖地、
御坂峠の天下茶屋、
その御坂みちに、今、大きく舵を切った。