足摺の道 (7) | 10go9

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道は生きている。

歩き遍路の命は、遍路道。

そう思って歩いてる。

 

 

札所も、歩き遍路にとっては通過点。

歩き遍路は表の山門から入って、裏へ抜けることも多い。

そこに次の札所へ通じる歩き遍路道が通っていたからだ。

勝手口から入って、表門へ抜けることもある。

歩き遍路は、まるでドロボウ猫みたいだった。

札所にとって、不意にやって来る歩き遍路は、

もしかして、有り難迷惑だったかも? (笑)

 

 

来た同じ道を、また帰る、打ち戻しは意外と珍しい。

足摺岬のその先端、金剛福寺を打って、

またその足摺の同じ道を帰っていく。

無計画。暮れ泥む道。気は急く。刻々と過ぎていく時間。

 

 

海の見える高地の高台を過ぎり、窪津の漁港へと下りる道。

墓地の中をゆく。彼岸花の道、夕暮れが迫っている。

何としても、あの山越えの以布利遍路道を、蟹の這うあの道を、

日のある明るい内に通過しないことには・・、大変なことになる。

夕刻6時、山中に入る。気は急く。

人一人やっと通れる山中の細流そわ道。足下が見えない。蟹を踏ん付けてゆく。

汗ダクダクで、丸木橋を渡る。

記憶を手繰りながら必死で以布利港に下り立った時、以外と明るい海明かりに驚いた。

灯台の灯が点滅し、停泊中の漁船が波に揺れている。

この明るさなら、まだ行ける!

先を急ぎ住宅街に差し掛かった時、昼間下手な道の尋ね方をして、

激怒され、へし折られた道標が、もう修復されているのには驚いた。

ありがとう!! 遍路道。♪♪♪

(遍路道は生きている)

と、思った。まだ止まる気がしなかった。先を急いだ。

 

 

昼間サーファーで賑わった大岐の浜を通過。もう人影もなくトップリ日が暮れていた。

金剛杖が砂浜に突き立ててあった。

見つかるように、誰かが突き立てておいてくれたのだろう。

もしかして、雲水さんだったかも・・・。

昼間置き忘れた杖と、まさか偶然にまた、この砂浜で再会出来るとは・・。

これには驚いた!!

嬉しかった。♪♪♪

時々刻々、時は流れても、

思いやりある人的痕跡に目が潤んだ。

(遍路道は、やっぱり生きている)

と、思った。

 

 

遍路道で再会を約束した仲間がいる。何処かで必ず待ってるから、と、言ってくれた。

桂浜で別れてからすでに一週間。もう何処まで行ったことやら・・?

もう射程圏内を去ったようだ・・。

でも、約束は約束だ。

この杖とだって再会出来たのだ。まだ諦めたワケじゃない。

暮れた砂浜、旅館、民宿がないわけじゃない。でもまだ歩みを止める気がしなかった。

遍路道は生きている。遍路道は歩き遍路の、命そのもの。

遍路仲間と再会するまでは・・・。

 

 

汗ばむ。先を急いだ。歩けるところまで歩いて、力尽きるまでが今日一日。

そして力が尽きた。

物置のような廃屋、その軒下、土間でのゴロ寝。夢うつつ、幾度かすぐそばを疾走する車。

突然射てくるライトの光。疲れ果てたかしばらく爆眠。

そして早朝四時頃の豪雨。軒下は水浸し、そして水溜まりに。

空のビールケースの上にリュックを置き、雨止み、夜明けを待った。

遍路道は無茶と相性がいい! 想定外こそ遍路道の醍醐味!!

早朝六時、レインウェアを着て、また旅立った。