10botです。


以前からTwitterで言及してきたのですが向田民子のTOKYO、聴けば聴くほど豊富なギミックとフックが散りばめられている。


この曲がいかに素晴らしいかをのべつまくなしに誰かに語りたかったのだけど、語れる妥当な相手もおらず、Twitterに140字パツパツの怪文書をしたためることも考えたのだけどどうにも気乗りがしない。(ツリーでダラダラぶら下げるのも個人的に好きではない)


思案の末、この曲への想いと自家製特濃ハイボールを燃料に、誰にも全く需要がないであろうこのnoteに綴ることに決めた。


完全なる自己満足で行く末のないエクトプラズムの救済なので激烈ヒマでヒマでしょうがない方だけお付き合いいただければ幸いである。


既に話が長ぇ


そもそも向田民子との出会いはゲロマブコスプレイヤー伊織もえの電脳らじお(inter FM火曜日21:00-22:00)で、とある月のEDテーマとしてステイイントゥザナイトが起用されていたことに端を発する。


伊織もえが人類史以降いっちゃんマブいのは確定事項でご活躍も周知の事実なのだが、電脳らじおは安心してゆるーく聞けるし選曲もたまに良いのがかかるので、気になった方はリンクから飛んでめいめいに狂ってほしい。


InterFMhttps://www.interfm.co.jp伊織もえの電脳らじお | インターエフエム [ 89.7MHz TOKYO ]


https://music.apple.com/jp/album/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A4-%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88/1799618093?i=1799618094


ステイイントゥザナイトは一聴して90sシティポップサウンドの美味しいとこ取りでキラキラしたリバーブ感を現代の感覚にアップデートしたような質の高さで、シンプルに、あ、いいな、と思っていた。キンキンしない中音が抜ける本人の声もよかった。


当時はステイイントゥザナイト以外にはサブスクでは花束の中にくらいしかなかったのかな?花束の中に、は、へぇ〜Perfumeのねぇにメロ似てんな、いいじゃん!くらいでその時はミーハー的に一過性にハマって終わった。


その後しばらく経ってからラジオで楽音さんのotukareという曲を耳にした。まずワードチョイスと韻の踏み方にハッとさせられる。幽遊白書みたいなシンセの入れ方もニクい。


何よりサビの無理しなさんなというリリックとサンバをかける妙に身悶えした。google検索してみると、どうやらこの曲がtiktokで激バズりしてるらしいこと、作曲者が向田民子さんであることを知る。はえ〜多彩なお人。


https://music.apple.com/jp/album/otukare/6785886719?i=6785886725


前後関係の記憶が曖昧なのだが程なくして同じく電脳らじおで向田民子さんのCOLA!を耳にする。頭をポカリ!一体ココア?など秀逸な言語感覚と相対性理論ばりの16のメロへの乗せ方にハッとさせられた覚えがある。COLA!も超いいよ


https://music.apple.com/jp/album/cola/6798126726?i=6798126727


そして、Apple musicを掘ってようやくTOKYOに辿り着く、前置き長んげぇ!


まず一聴してイントロのシンセサイザーとタンドンドンドンドン!とピッチを下げていく太鼓から雨にキッスの花束を、を想起させる。


https://open.spotify.com/playlist/37LjYv5aTNm0CqE0WZ8c9G?si=220PQ8S1Qym7JW9-TJSd9g&utm_source=copy-link&pi=CuOLw9AlQPqc9


ご本人のSpotifyの影響を受けた音楽たちにも収録されていることもあり、TOKYOのメインとなるモチーフに雨にキッスの花束を、がベースにあることはまず間違いないと思われる。


余談、雨にキッスの花束を、は原曲自体も素晴らしいのだが、タイアップとなったYAWARAのOPは映像のマッチングも相まって爆発力がヤバいのでぜひ観てほしい(酔っ払って語彙力がアホになってきている)わたせせいぞうとかフリッパーズギターみたいな洒脱な映像的センスが横溢している。


Yawara! Opening 02 - 雨にキッスの花束を


思えば雨にキッスの花束を、もそうなんだけど言語感覚と映像換気力が極めて優れている。スクランブルのど真ん中という短いワードから、一聴してこれは都会のストーリーなんだろうな、という感覚をリスナーに知らしめる。土砂降りの雨の中、突然プロポーズを受けて固まってしまった女性像を映像としてリスナーの脳に否応なしにインサートさせる。


向田民子にもその都市感覚はしかと受け継がれていて、周る山手線とか神宮前11時にラフォーレとか簡潔なワードでシティポップたらしめる説得力がある。


面白いのは、ほっぺゆるみっぱだ、とか、もう3日は経ってる、とか、手褒められたってだけでさ、などおおよそ歌詞にしにくそうなワードをシンコペーションに乗せる言語感覚で、これは誰の真似でもない向田民子オリジナルの特性で才能であると思う。


特に好きなのが Aメロ後半の


この頃君のことばかり6畳ちょっとの1K、机の上震えるの待ってるスマートフォン


という一節、1Kのスッとした抜け方が向田民子の歌い方に相まってマッチしてる。で、よくよく考えるとスマホは震えるの待ったりしないんですよ、それは恋をしている少女がスマホが震えるのを待っている、という願いをスマホ自体に仮託している、という構造がこの短い一節から察せられるわけです。


本当は楽曲は全体で評価されるべきで歌詞のひとつひとつをあげつらって評するのはナンセンスだと思ってるんです。でもこと向田民子に関してはワードと音との親和性のいちいちが解像度が高すぎる。


そしてラスサビ前のCメロ。待ち合わせの時間を約束するインサートを挟んで、天気はくもりのち晴れ神宮前11時にラフォーレ、と歌うバックで鳴るアルペジオはまさに湿っぽい空気から日が射すような音色を鳴らしていて完全に音とワードがリンクしてるんですよ。


歌詞:

完璧で用意周到な私、でもなんでか明日を思うとしゃがみこんで泣きたくなる私です


ここもそう、完璧にリンクしてる、この文脈でコードを溜めて溜めて「しゃがみこんで」でマイナーコードに行く(音も悲しげな旋律になる)展開凄すぎないですか?


歌詞:

ちょっとした悩みも今は愛おしい

日の落ちぬ街で

どこまでも浮ついて

夢見せてTOKYO(このあと転調)


ここで個人の願いからマクロにいくんですよ、その思いは東京で夢見ている人や末はリスナーにまで波及して1番美味しいところで転調するんです。


ラスサビの、サビよ続いて続いてよお願い、という一節は前半のサビはまだかな?にかかっている巧みさもありつつ、もはやリスナーの願いそのもので、この曲がもっともっと続いてほしいと素直に思うわけです。


とにかくこの曲はマジで本当にいいのでここまで読んだならもう絶対聴いてください。10botでした。


https://music.apple.com/jp/album/tokyo/1840109349?i=1840109350