Asuncion 郊外に着いて4日目。
雨上がりで曇っている。
今は春だという。
晴れた日はパラグアイ人の庭師が挨拶がわりに "Hace calor(暑い)" という。

少し歩いて super mercado Guarani (スーパーマーケット) へ。

トイレに行きたくなったので、ウロウロして2階にたどりつく。
売り場の人に聞いてみた。

"A bajo (下に)" というが、どう行けばトイレがあるのか分からない。
何人かに聞き、控室のようなところを通って倉庫の中で迷子になった。
不審者と思われたらしく、高いところで在庫整理をしている男性に呼び止められる。
その人が他の店員に伝えてくれたおかげでようやくトイレにたどり着く。

トイレは倉庫の中にあった。
赤茶色で10cm角くらいのきれいなタイルが一面に貼られていた。

窓も換気扇もないらしく、空気が蒸れている。
天井が低く、細長い通路になっている。

通路を折れると細長い浴槽のようなものがあり、かなりきついアンモニア臭がする。
芳香剤のようなものが入れてあるのでこれが小便器だろう。
来客用トイレというものはないらしかった。

"Gracias" とお礼を言って店を出た。


店の入り口付近にバス停がある。
Asuncion の旧市街 centro (セントロ) へ行くには、27番か29番のバスにのればいいと聞いていた。

乗る人たちを見ていると、バスに乗るには人差し指を高く掲げるようだ。
私は目が悪いので、近くまでバスが来ないと何番なのかわからない。

手を上げた時にはバスが通り過ぎてしまっている。
2本ほどバスを逃した。

どうやったら乗れるのか?
隣に立っているサングラスの女性に、身振りと単語で 「セントロに行きたい」と言ってみた。

この辺りの中年女性としては珍しく痩せたその人は、27番か29番に乗ればいい、と教えてくれたらしい。
会話帳を取り出し「料金」の項目を探して発音しようとした途端、自分のバス賃を取り出して見せてくれた。
「2,300 よ」といってくれたようだ。46円だ。
( 当時のレートとATM出金手数料を考慮すると、1円が50グアラニくらいだった )

女性は29番のバスを止め、ついておいで、というようにこちらを振り返ってバスに乗った。
彼女についてバスに乗り、料金を出すと運転手が小さいチケットをちぎり取って渡してくれた。
これは切手のように小さくて頼りないが、ときどき乗車券のチェックをするらしい。

回転レバーを押して車内に入った。

しばらくすると、コカコーラ売りが乗ってきた。
「アーグアコーカ、アーグアコーカ」と早口で繰り返しているようだ。

物売りは走り始めたバスにこともなげに飛び乗ってくる。
乗車料金は払わず、回転レバーはくぐったりまたいだりする。

1杯1,000グアラニ、20円。
彼らが着ている不恰好な黄色い上っ張りに、そう書いてある。
暑さで汗と脂の浮いた顔、サンダルばきで埃だらけの足、指の爪の間が黒い。

車内の女性が3人、コーラを買った。
コーラ売りはフタのないクーラーボックスから、氷で冷やされたビン入りのコーラを出す。
服の裾でフタをひねって開け、ポケットにいれてある使い捨てのプラスチックカップにコーラを注ぎ入れて客に渡す。

昔ながらの曲線を持つビンは何度も再利用しているらしく、ガラスがくもっていた。
重そうなクーラーボックスを抱えてゴムサンダルを履いたコーラ売りは、バスが減速すると慣れた様子で素早く飛び降りた。

強盗が物売りに扮していることもあるそうだ。