「洗剤買って来てって言われたんだけど、ゆっかー何したの」

「あー。実は、たまには私も洗濯手伝おうと思って、色々やってたら、洗剤の中身ほぼぶちまけちゃって。怒られたの」

「なるほど。じゃあその洗剤、ゆっかーが選んでよね。私は何も知らないんだから。急に言われてびっくりした」

「そうだよね…ごめん」


お洋服を買ったり、ゲーセンにも行って、ある程度休日を満喫したところで、今はカフェで一休みをしている。

そこで朝のあかねんの言葉を思い出し、ゆっかーに伝えた。


「ね、みぃちゃんはどうだった?可愛かったでしょ?」

毎朝、おはようの挨拶を抱きつきながらしてくれたり、時間に余裕があるときはご飯を作ってくれたりと我が彼女ながら可愛いなぁと彼女には惚れ惚れしてしまう。


「うん。なんか、想像してたより甘かった。新婚さんって感じ」

「…褒めてる、よね?」

「褒めてるつもりだけど…。じゃあ、あかねんは?どんな感じ?」

「うーん」


朝の風景を思い出してみる。どんな感じだっただろう。


「えー…ゆっかーのこと、分かりきってる感じ?」

「ん?どういうこと?」

「みぃちゃん程甘くもないし、かといって厳しい感じでもなくて、穏やかに見守ってる感じだった」

「私、見守られてるのかな?」


年上なのに…と言いたげにゆっかーが呟く。
でも、精神年齢的にはあかねんの方が上だと思う、ともちろん心の中で突っ込みをいれた。


「さぁ。でもなんか新選だった~!」

「確かに。あんなにニコニコでハグされておはようって、多分もう二度とない経験だよ」

「あはは。あかねんしなさそう」

「うん、しない。寝坊しそうなときとか、大声で耳元に起きろー!って叫ばれるだからね?」

「寝坊しそうなとき…はこちょこちょされて、起こされるかな」

「えー可愛い!今日さぁ、いつもと違うから戸惑ってたらみぃちゃんにあーんされちゃって。ずっとそんな感じなの?」

「たまに、してくれるよ。みぃちゃんの機嫌が良いときはね」


それからも、こういう時、お互いの彼女はどんな態度をとってくれるのかを二人で話していた。そんな話は中々しないから、案外盛り上がる。

どちらも仲良しなのに変わりはないけど、お互い違う距離感で愛を育んでるんだなぁとしみじみ感じる。


「ねぇ、ゆっかーの中で、あかねんが一番可愛い反応をする言葉って何?」

「一番?一番は‥‥やっぱり、大好きって言ったときかな」

「あ~確かに。んーじゃあみぃちゃんには愛してるって言ってみ。可愛いよ~癖になる」

「ふふっ、言ってみるよ。さぁ、洗剤買って、帰ろ!今日の夜しか時間ないんだから」


ゆっかーの言葉に、うんと頷き、カフェを出る。随分と長居してしまったようで、入ったときは人で溢れていたカフェも、もう人が疎らになっていた。









「ただいま~」

玄関に入り、靴を脱ぐ。
私の家が散らかってるわけではないのだが、ここの玄関はすごく綺麗だった。靴が整えられていて、ピッカピカだ。


「おかえり。意外と早かったね、もっと遅いと思ってたから、ご飯まだだけど、どうする?お風呂とか先に入る?」

「うーん、いや、ご飯出来るの待ってるよ」

「そう。じゃ、お風呂は自分で沸かしてね」

「うん。そうする」

「どうだった?楽しかった?」


そう聞かれて、ゆっかーとの会話を思い出す。
みぃちゃんなら、ただいまって言うと、玄関まで来て抱きついて迎えてくれる。

しかし、さっきのあかねんは抱きつきはしないものの、脱いだコートをハンガーに掛けてくれたり、ソファに座ればそっとお茶を出してくれたり、細かな気遣いから愛を感じる。


「‥‥なんか、ずっと惚気てたよ。自慢の彼女なんだーって」

「何それ。二人で遊んでるのに他の人の話?」

「二人で遊んでるからこそだよ。普段、彼女の自慢なんて出来ないし」


ゆっかーはいつ、どういう時に大好きって言うんだろう。言ったときの反応が見たいが、どう切り出せばいいのかが分からない。


「そういうもん?自慢、したいんだ」

「したいよ。だって、大好きなんだもん。好きな人の良さを、もっと知ってもらいたい」

「ふぅん。でも、私は逆なところもある」

「逆って?」


ご飯の準備は一段落ついたらしい。

あかねんが、私の隣へ座る。


「私は、好きな人の良いところは、他の人にはあんまり言わない。もし、それが他の人も知ってるんなら言う必要ないし、知らないんなら私だけに見せる姿ってことでしょ?そこはちょっとでも、独り占めしてたい」


言っている途中から、あかねんの横顔が赤く染まっていった。

ゆっかーのことが、大好きなんだなぁということが伝わる。そして、ゆっかーも多分、こんなあかねんが大好きなんだなぁと思う。


今言わなかったから、いつ言うんだ。
その覚悟で、口を開く。


「大好き」

「‥えっ?何、急に‥‥」

「いや、今、好きだなぁって思ったから」


さっきまで頬がほんのり赤く染まっていたが、今は顔全体が赤い。
なるほど、これは可愛いわ。


「ふふふっ、大好きだよ~!好きすぎてどうにかなっちゃうぐらい」

「分かったから。離れて!恥ずかしい」


どうせもう戻っちゃうんだからと抱きついてみた。離れてとは言っているものの、抵抗はせず、案外嬉しいみたいだ。



「あ、洗剤!買った?」

「うん。買ったよ~」

「じゃ、それを洗面所持ってって!それまでにご飯、並べておくから!」

「は~い」


余程恥ずかしかったのか、あかねんはすぐにキッチンへ向かっていった。


このことをゆっかーに自慢するべく、スマホのメモに書き加えておく。

『ゆっかーの彼女の可愛い姿、いっぱい見れたよ!』
と、抱きついたり大好きと言った時の反応を、私の感想も交えて書いておいた。



「洗剤持ってくのに何分経ってるの?ご飯、出来てるよ!」

少し厳しいあかねんの声に、今行くー!と返し、急いで洗面所を出る。


たまにはみぃちゃん以外に癒されるのも、悪くない。


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次で最後です!
土生ちゃんとゆっかーそれぞれの朝の様子です。