最近、新聞で銀行に薦められた外国為替商品(デリバティブ商品)を購入し、それが大きく損失を出し、会社が倒産に追い込まれるケースが増加している、という記事を読みました。
http://www.asahi.com/national/update/1211/TKY201012110315.html
リーマンショック後に学校法人や企業年金基金等が余裕資金、運用資金をデリバティブ商品で運用をして大きな損失を出した、とこちらも新聞報道に過去に目にした記憶があります。
今回の記事の内容はどちらかと言うと、「エ、いまさら」という印象を受けました。
私も税理士という仕事上、顧問先の諸々の取引を目の当たりにしますが、かなり前からありました。この種の取引。
私の事務所では外国との取引を行っている顧問先も多いという事もあるのですが、中には国内の流通業など到底、外国為替や為替リスクのヘッジなど必要ないお客さんもありました。殆どお話を聞くと、金融機関が融資の際にセットとしてこれらの商品を持ってきた、というお話を聞きます。その場にいたわけではないので、それが融資の条件だったのかどうかは確定はできませんが、多く見受けました。
新聞記事とも重複しますがが、概要はこのようなものです。
現在1ドル=120円のところを110円で毎月10万ドル購入できます。ただし、125円より円安になったらこの契約は終了です。また、110円より円高になったら、2倍の20万ドルを購入してもらいます。契約期間は5年間です。 でも、今の為替の状況なら、そんなに円高になることは考えづらいですよ。
これを、金融機関の融資担当者が本店の専門部署の社員を連れてきて説明する。
最初は「笑いが止まらない」らしいです。
そうですよね、110円で購入したドルをすぐに120円で円転(ドル→円に交換)すれば
(120円-110円)×10万ドル=100万円が毎月銀行口座に残るのです。
しかし、1年後にリーマンショックがあり、ドルは110円どころか100円を大きく割り込んでいきます。そうなるとたまったものではありません。
1ドル90円なら、(110円-90円)×10万ドル=200万円、しかも110円より円高になったら2倍の20万ドルを購入しなければならない契約なので2倍の400万円の損失になります。これが毎月続くのです。しかも今も円は80円前半で推移しているのだから、中小企業はもたないですよね・・・・。
顧問先でも、破綻寸前に追い込まれたケースや解約を申し出たら多額の違約金を求められた、などもありました。弁護士を通じて裁判手前というケースもあります。また、契約前に「金融機関からこんな話があったけど、どう思う?」という相談を受け、ご説明をして契約をしなかった顧問先もありました。
顧問先の取引先がデリバティブで民事再生や社長まで自己破産という話なども聞きました。
ここ数年の円高は多くの輸出企業を苦しめました。外国と取引を行う企業にとって為替リスクを抑えることは大きな問題であり、またコントロールが非常に難しい問題でもあります。
今回の新聞報道では数十社と書いていますが、私の事務所が国外取引を行う顧問先が多いとはいえ、知る限りでも、10件近くあるのではないかと思います。私見ですが、これって氷山の一角で相当根深いのではないかなぁ、と感じています。
中には自分が自ら契約書にハンコを押したのだから、自己責任だ、と云うだけではないケースもあるように思えます。
特に某都市銀行はまたこの銀行か、と思うほどです。