【生活習慣病について No.8】
前の章では、実際に具体的な生活習慣病の中で、「高血圧」と「糖尿病」について、要因とリスクについて記載してきました。
この章では、生活習慣病の中の「高脂血症」と「肥満」について、考えて行きたいと思います。
2-3. 高脂血症
- 血液中の脂質の異常な増加とその健康への影響。
高脂血症(高脂肪血症)は、血液中の脂質(脂肪)の異常な高濃度を指します。
主にコレステロールやトリグリセリドが増加することがあります。
高脂血症は、動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加させることが知られています。
以下に、高脂血症の主な要因とリスクについて詳しく説明します。
高脂血症の主な要因:
1. 生活習慣と食事:
• 高脂肪な食物や飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を多く含む食事は、高脂血症の原因となります。
不健康な食事習慣や肥満もリスクを増加させます。
2. 遺伝的な要因:
• 遺伝的な傾向が高脂血症の発症に寄与することがあります。
家族歴に高脂血症がある場合、遺伝的な因子が影響している可能性があります。
3. 運動不足:
• 運動不足は、体内の脂質を正常に処理するための機能を低下させ、高脂血症のリスクを増加させることがあります。
4. 肥満:
• 過体重や肥満は、脂質代謝を乱し、高脂血症を引き起こす可能性があります。
5. 喫煙:
• 喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進行させることがあり、高脂血症の合併症のリスクを増加させます。
高脂血症のリスク:
1. 動脈硬化(アテローム性動脈硬化症):
• コレステロールが動脈壁に蓄積し、動脈硬化が進行することで、血管が狭窄し、血液の流れが制限される可能性があります。
2. 冠動脈疾患:
• 高脂血症が続くと、冠動脈疾患(冠状動脈疾患)のリスクが増加します。
これは心筋梗塞や狭心症などを引き起こす可能性があります。
3. 脳卒中:
• 高脂血症は、脳卒中のリスクを増加させる要因となります。
4. 末梢動脈疾患:
• 足の血管に影響を与え、動脈閉塞症や末梢動脈疾患を引き起こす可能性があります。
5. 膵炎:
• 高脂血症は、膵炎(膵臓の炎症)のリスクを増加させることがあります。
高脂血症は予防、管理が可能で、健康的な生活習慣の採用が重要です。
これにはバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、適正な体重維持が含まれます。
必要に応じて医師の指導のもと、薬物療法も検討されます。
高脂血症に対する治療方針は個々の状態により異なるため、医師との相談が重要です。
2-4. 肥満 - 過度な体重蓄積が引き起こす健康問題。
肥満は、体内の脂肪組織が異常に増加する状態を指し、BMI(Body Mass Index)が30以上の場合に肥満とされます。
肥満はさまざまな要因によって引き起こされ、健康にさまざまなリスクをもたらします。
以下に、肥満の主な要因とリスクについて詳しく説明します。
肥満の主な要因:
1. 不健康な食習慣:
• 高カロリーで栄養が不足した食事、過度の食事量、高脂肪・高糖分の加工食品の摂取が肥満の主な原因です。
2. 運動不足:
• 運動不足はエネルギーの消費が不足し、脂肪が蓄積しやすくなる要因となります。
3. 遺伝的な要因:
• 遺伝的な傾向は肥満の発症に影響を与えることがあります。
親が肥満である場合、子供も肥満になりやすいとされています。
4. 生活環境:
• 現代の生活環境では、便利な交通手段や座りっぱなしの職場など、運動不足を招く状況が増加しています。
5. 精神的な要因:
• ストレス、うつ病、不安などの精神的な問題が、過食や不健康な食習慣につながり、肥満のリスクを増加させることがあります。
6. 睡眠不足:
• 睡眠不足はホルモンのバランスを乱し、食欲を増加させることがあり、肥満の原因となります。
肥満のリスク:
1. 心血管疾患:
• 高いBMIは高血圧、高コレステロール、冠動脈疾患のリスクを増加させ、心血管疾患を引き起こす可能性があります。
2. 2型糖尿病:
• 肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病の発症リスクを高めることがあります。
3. 関節痛や骨折のリスク:
• 過重な体重が関節に負担をかけ、関節痛や骨折のリスクが増加します。
4. がん:
• 肥満は特定のがん(乳がん、大腸がんなど)のリスクを増加させるとされています。
5. 脂肪肝:
• 肥満は脂肪肝(肝臓に脂肪が蓄積する状態)の発症リスクを増加させます。
6. 精神的な健康問題:
• 肥満はうつ病や他の精神的な健康問題のリスクを増加させることがあります。
7. 生活の質の低下:
• 肥満は日常生活での活動制限や健康上の問題に繋がり、生活の質を低下させる可能性があります。
肥満を予防または改善するためには、バランスの取れた食事、定期的な運動、健康的な生活習慣の習得が重要です。
医師や栄養士との相談も有益です。
~次へ続く~