【膵(すい)臓がん 5】
「膵体尾切除術」、「全摘除手術」、「腹腔鏡手術」のそれぞれに、メリットや
デメリットがあります。
また、デメリットとしては、合併症のことも考えないといけません。
「膵体尾切除術」のメリットとデメリットについて、
メリット:
1. がんの部分切除: 膵体尾切除は、がんが膵体部分に限定されている場合に、
がんを部分的に切除する手段となります。
2. 臓器の機能維持: 膵体尾切除では、膵体尾の一部が取り除かれるだけで、
膵体全体が切り取られることはありません。
そのため、他の部分の機能を維持できる可能性があります。
3. 血糖値の維持: 通常、インスリンを産生するのは膵体尾の部分です。
手術後も残存する健康な膵体尾が、血糖値の調整に寄与することが期待され
ます。
デメリットとリスク:
1. 合併症のリスク: 手術は常に合併症のリスクが伴います。
感染症、出血、膵液の漏れ、胆道の損傷などが発生する可能性があります。
2. 糖尿病のリスク: 膵体尾の一部を切除することで、インスリンの産生が
減少するため、手術後に糖尿病が発症するリスクが増加する可能性があり
ます。
3. 栄養吸収の問題: 膵体尾の一部を切り取ることで、消化酵素やホルモンの
分泌が減少し、栄養吸収に関連する問題が生じる可能性があります。
4. 手術後の回復期間: 手術後の回復には時間がかかり、患者は適切な
医療管理が必要です。
5. がんの再発: がんの細胞が手術で取り除かれない場合、がんが再発する
可能性があります。
「全摘除手術」のメリットデメリットについて、
メリット:
1. がんの完全摘出: 全摘除手術は、膵臓全体を取り除くため、がんの完全な
摘出が可能です。
2. 再発のリスク低減: 全摘除により、膵臓に残っているがん細胞がなくなり、
再発のリスクが低減する可能性があります。
3. 症状の緩和: 手術が成功すれば、がんによる症状の緩和が期待されます。
デメリットとリスク:
1. 糖尿病の発症: 膵臓全体が切除されるため、インスリンの産生が失われ、
手術後には糖尿病が発症するリスクが高まります。
2. 消化酵素の不足: 膵臓全体が取り除かれると、膵液中の消化酵素も失
われるため、栄養吸収に関連する問題が生じる可能性があります。
3. 手術合併症: どんな手術にも伴う合併症が発生する可能性があります。
感染症、出血、手術部位の損傷、膵液漏れなどが挙げられます。
4. 長期の医学的管理が必要: 手術後は、糖尿病と栄養吸収に関連する
問題に対処するために、長期的な医学的管理が必要となります。
5. 生活の変化: 糖尿病や栄養吸収の問題により、食事療法や生活習慣の
変更が必要になることがあります。
6. 生存率の低下: 全摘除手術は高度な手術であり、生存率が低いことがあり
ます。
特に進行がんの場合、手術の効果が限られることがあります。
全摘除手術の適切な選択は、患者の健康状態、がんの進行度、および外科医
の評価に基づいて行われます。
手術を検討する患者は、医師との詳細な相談を通じて、リスクと利益を理解
し、適切な治療計画を立てることが必要となってきます。
腹腔鏡手術のメリットとデメリットについて、
メリット:
1. 小さな傷口: 腹腔鏡手術では、通常、数本の小さな傷口を使って
手術が行われます。
これにより、患者は従来の開腹手術よりも小さな傷跡が残り、
回復が迅速になることがあります。
2. 痛みの軽減: 小さな傷口により、手術後の痛みが通常軽減されます。
これは患者の回復を促進し、入院期間を短縮する可能性があります。
3. 早い回復: 腹腔鏡手術により、患者は通常、通常の開腹手術よりも
早く日常生活に戻ることができる可能性があります。
4. 低い感染リスク: 小さな傷口は感染のリスクを減少させ、
手術部位の治癒が速くなることがあります。
5. 視覚化の向上: 腹腔鏡手術では、高解像度のカメラを使用して腹腔内
を視覚化できます。
これにより、外科医は細かい構造や臓器を拡大して見ることができます。
デメリットとリスク:
1. 技術的なスキルが必要: 腹腔鏡手術は外科医に高度な技術を要求します。
手術を行うためには特別な訓練が必要であり、経験不足や技術の不備が
合併症のリスクを増加させる可能性があります。
2. 手術にかかる時間が長いことがある: 腹腔鏡手術は通常、従来の開腹手術
よりも手術時間がかかることがあります。
これは手術がより慎重かつ精密であるためでもあります。
3. 特定の患者には適さないことがある: 一部の患者には、腹腔鏡手術が適さな
い場合があります。
特に複雑な手術や既往の手術歴がある場合、開腹手術が選択されることがあ
ります。
4. 合併症のリスク: 腹腔鏡手術でも合併症が発生する可能性があります。
例えば、出血、感染、器官の損傷、気腹(腹部にガスがたまること)など
が挙げられます。
5. 機器のコスト: 腹腔鏡手術には特殊な機器が必要であり、これが手術のコスト
を増加させることがあります。
手術の選択は患者の状態や手術の目的によります。
外科医との十分な相談のもと、リスクとメリットを考慮して適切な手術方法
が選ばれます。
以上のように、すい臓がんの手術には、その発症の部位や手術方法によって
メリットとデメリットがあります。
また、それと併せて、合併症について、考えておかないといけません。
私も、合併症を併発し、それとも付き合いが始まっています。
次は、合併症のリスクについて、説明して行きます。
~続く~