霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展 | パラレル

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群馬県立館林美術館で開催中の「霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展」へ行って来ました。

大森暁生は、主に木と金属を素材として実在するものから架空のものまで命あるものをモチーフに制作しています。

その彫刻は、霊気を帯びているかのように神秘的で、今にも動き出そそうなほどリアルです。

大森は、国内外のギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館などでの発表のみならず、ファッションブランドやレストラン、テレビドラマやミュージシャンなど異分野とのコラボレーションも積極的に行い、表現の幅を広げます。

鏡のギミックによりモチーフが軽やかに浮遊して見える「in the frame」シリーズ、熊本市動物愛護センターに保護された犬や猫を題材にした「光の肖像」の作品群など多様な作品を発表します。

 

本展は、これまでの制作の軌跡に最新作を加え、木彫や金属による彫刻約100点を作者の言葉とともに紹介するものです。

 

大森は言います。

それを他人は「天の邪気」と言うかもしれない。

「ひねくれ者」と揶揄するかもしれない。

「面倒な奴」と煙たがるかもしれない。

大森暁生《カラスの舟は昇華する》(1996年)作家蔵

 

”無難”を嫌い、”常識”に疑問を持ち、”平穏”に不安を感じる。

 

この年齢にきてなおさら痛切に思う。

気を許せばいつ自らが陥っておかしくないからこそ

今、しっかりと心根に刻みたい。

大森暁生《月夜のテーブル-Red Arowana-》(2015年)個人蔵

 

創造するということ。

 

自分も他人も未だ見たことのないものを生み出すということ。

つくり手も見る者も同じように初めての出現と遭遇に心ざわめく事件。

大森暁生《戦いの天使》(2012年)個人蔵

 

ゆえに自己模倣は作業であってもけっして創造ではない。

そして自己模倣を”作風”という言葉に置き換えてはならない。

常に創造しつづける姿勢こそを”作風”にしなければいけない。

 

皆が求めるものは過去の自分。

皆の想像を超えるものを提示することが創造であり

それを恐れたり面倒に思った時、創造の火は消える。

大森暁生《ぬけない棘のエレファント》(1999年)作家蔵

 

皆の想像を裏切るということは、なによりも期待に応えるということ。

そしてそのことを期待されるつくり手になること。

 

リスクの無い創造にチカラは無い。

大森暁生《光の肖像-8分の2-》(2017年)個人蔵

 

だからいつまでも変わらず、変わり続けること。

 

Creation is not over.

大森暁生《和告の白鳩》(2024年)個人蔵

 

館林美術館は、フランソワ・ポンポンの作品をコレクションの核とし、彫刻との関わりが深い美術館です。

その美術館で、これからの展開へつながる作家の現在を鑑賞し、その作品世界を堪能してみませんか。

展示風景より

 

 

 

 

 

 

会期:2024年7月13日(土)〜9月16日(月・祝)

会場:群馬県立館林美術館

   〒374-0076 群馬県館林市日向町2003

開館時間:午前9時30分〜午後5時 ※入館は午後4時30分まで

休館日:月曜日(7月15日、8月12日、9月16日は開館)、7月16日(火)

主催:群馬県立館林美術館、株式会社新生堂

協力:一般財団法人そごう美術館