◯矢島渚男選
誰もゐぬ部屋の灯籠回りけり (相模原市 はやし央)
梅干の種子の固さや広島忌 (熊谷市 田島良生)
あせもの児潮洗ひする漁師かな(対馬市 神宮斉之)

◯宇多喜代子選
風呂敷を解けば輝く西瓜かな (堺市 原山桂子)
一幅の軸の墨書や堂涼し(市川市 鈴木敬治)
天空に入道雲の力瘤(池田市 こてだれいこ)

◯正木ゆう子選
涼風は飛天の笛の如きもの(加須市 松永浮堂)
逃げ道を蜘蛛に作れる流しかな (東京都 本多明子)
大賀蓮花びらを茶にたてにけり (町田市 枝沢聖文)

◯小澤實選
煙突の残る銭湯鰯雲(長野市 小林明男)
脚か手か蠅取テープに残れるは (東大和市 板坂寿一)
サバンナの夕焼三百六十度 (東京都 小島信子)