「これから伸びる株、教えて」ってよく聞かれるんだけど、正直これが一番答えにくい質問だったりする。個別の銘柄を当てにいくのは、プロでも外すことが普通にある世界だから。
ただ、「どのあたりが追い風を受けやすいか」という”テーマ”レベルの話なら、今の市場でわりとはっきり見えているものがある。今日はそれを整理してみたい。
※これは特定の銘柄の購入を勧める記事ではなく、テーマを知るための情報整理です。最終的な投資判断は自己責任でお願いします。
前提:なぜ「テーマ」から見るのか
個別株は業績やニュース一つで急に動くこともあるけど、「社会や政策がどっちの方向に動いているか」という大きな流れは、比較的読みやすい。
このマクロな流れ(テーマ)に乗っている業界の中から、自分で気になる企業を掘り下げていく、という順番の方が再現性がある。逆に、テーマを無視して「なんとなく話題だから」で個別株に飛びつくのは危険度が高い。
2026年、よく話題に上がっているテーマ
① AI・半導体
引き続き大きなテーマではあるけど、2025年に人気だった銘柄がそのまま2026年も強いとは限らない、という見方も増えてきている。「AI関連」とひとくくりにせず、AIを実際に使って業務効率を上げている企業、半導体でも設計・製造装置・素材のどの部分を担っているか、くらいまで見ておくと解像度が上がる。
関連銘柄の例:レーザーテック(6920、EUV露光に不可欠なマスク欠陥検査装置で世界トップシェア)、アドバンテスト(6857、半導体テスタで世界シェア上位)、キオクシアホールディングス(285A、NANDフラッシュメモリ大手)、ソフトバンクグループ(9984、Armや自社データセンター含めAI戦略を横断的に展開)など。
② 防災・インフラの更新需要
水道管や橋、道路といった老朽化したインフラの更新は、景気に左右されにくい「ディフェンシブ(守り型)成長分野」として注目されている。加えて、災害予測AIや衛星データ、ドローンなどを使った「防災×デジタル」領域も、政策的な後押しが続く見込みとされている。
関連銘柄の例:モリタホールディングス(6455、消防車両・消防設備で国内トップシェア)、SWCC(5805、旧・昭和電線ホールディングス。制震ダンパーや送配電網の強靱化に使われる電力ケーブルを手がける)など。2026年度には防災を専門に担う「防災庁」の創設も予定されており、関連予算の継続性という観点でも見ておきたい分野。
③ GX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素・再エネへの産業転換)
太陽光・風力の運用管理ソフトや、企業のCO2排出量を自動計算・報告するSaaS(ソフトウェアをネット経由で使うサービス)など、脱炭素を”実装”する側の企業に実需が生まれ始めているとされる。上場企業がまだ少ない分野なので、成長株が出てきやすい土壌とも言われる。
関連銘柄の例:三菱重工業(7011、洋上風力や水素・アンモニア、次世代原子力など幅広くGXを牽引)、トヨタ自動車(7203、電動車と水素社会の両輪でGXを推進)など、大型株を中心に幅広い業種がこのテーマに関わっている。
④ 防衛関連
防衛費をGDP比で引き上げる方針が続く中、防衛関連企業は「単発で盛り上がるテーマ株」から「安定した受注が見込めるインフラ株」的な位置づけに変わってきている、という指摘もある。
関連銘柄の例:三菱重工業(7011、防衛装備品契約実績が国内最大)、川崎重工業(7012、潜水艦や哨戒機・輸送機で高いシェア)、IHI(7013)の3社は、しばしば「防衛御三家」と並び称される大手重工メーカー。いずれも防衛以外の事業(エネルギー・航空・宇宙など)も大きいため、株価は防衛需要だけで動くわけではない点は押さえておきたい。
⑤ 賃上げ・ROE経営(脱デフレの流れ)
物価上昇が続く中で、企業が現金を抱えたままでいることの「機会損失」が意識されやすくなっている。設備投資や賃上げ、株主還元をしっかり打ち出す企業ほど、国内外の投資家から評価されやすい流れになってきているようだ。ROE(自己資本利益率)という、会社が集めたお金をどれだけ効率よく利益に変えられているかを示す指標が、選別のキーワードになりつつある。
このテーマは特定の業種というより「選び方の視点」に近いので、銘柄例はあえて挙げていない。決算資料でROEや株主還元方針をチェックする、という使い方をするテーマだと捉えてもらえると分かりやすいと思う。
銘柄例についての注意:上に挙げた企業名は、あくまで「そのテーマに関わる代表的なプレイヤー」を知ってもらうための例であり、購入を勧めるものではない。すでにテーマとして有名な分、株価に期待が織り込まれていることも多い。株価やPER(株価収益率)、業績などの数字は日々変わるので、実際に検討する際は必ず証券会社のサイトなどで最新情報を確認してほしい。
テーマから個別企業を絞り込むときの視点
テーマだけで満足せず、そこから先に進むなら見ておきたいポイントはこのあたり。
• 業績の伸び方:売上だけでなく、利益がちゃんと伸びているか
• その業界内でのポジション:大手なのか、ニッチな分野で強いのか
• 政策との距離感:政策の後押しがどれくらい直接的か(間接的すぎると恩恵が薄いことも)
• 株価がすでに織り込んでいないか:テーマとして有名になりすぎている場合、期待が先行して割高になっていることもある
まとめ
「伸びる銘柄」をピンポイントで当てにいくより、「伸びやすい土壌にあるテーマ」を把握して、そこから自分の興味・理解できる範囲の企業を掘っていく方が、結果的に納得感のある投資判断につながりやすいと思う。
テーマも状況によって入れ替わっていくものなので、一度調べて終わりにせず、定期的にアップデートしていくくらいの距離感がちょうどいいかもしれない。