裁判をする、という場合、
法廷に
原告と 被告と 裁判官がいて、
主張を戦わせるというイメージですね。
基本はそのイメージでいいのですが・・・・
二本松市のゴルフ場の経営者が、東電に対して、
除染しろ!金払え!と求め、
これに対して
東電が『セシウムは無主物ですから・・・』といった事件の場合
あれは、仮処分を求めるものであって
ノーマルな裁判とはかなり性質が違います。
裁判をきちんとするとけっこう時間がかかるので(最高裁まで争うとか)、
①田中真紀子の娘の悪口を書きたてた週刊誌の発行差し止めを求める場合
②ワンマン社長にクビにされた社員が解雇無効だ!と争う場合
③東電に営業損害を払え、という場合、
等々、
裁判が終わるまで待っていたのでは
①の場合、週刊誌が世に出てしまえば、悪口は回収できないし
②の場合、裁判している間、ずーっと無職だと生活できないし、
③の場合、会社がつぶれてから賠償金をもらってもしょうがない、
そこで
①とりあえず、週刊誌の発行を止めときましょう、
②とりあえず、社員の地位と、給料の仮払いを認めときましょう、
③とりあえず、ちょっとだけ賠償しときましょう、
というのが仮処分です。
問題は、
裁判に勝つよりも
仮処分を認めてもらう方が、
一般的には難しいということ。(②はちょっと違うけど)
仮処分は
法廷で議論を戦わせることなく、
書面審査だけで、短時間に結論が出されるます。
なおかつ、
相手方にとって、仮処分は結構強力な効果をもたらすので、
裁判官が書面を見ただけで
『ああ、明らかに、これはひどい!』
と思わないと、仮処分決定を出してくれません。
だから、原発事故の責任!などという大きなテーマが絡むと
被害者側が求めた仮処分はなかなか認められません。
〇〇マイクロシーベルトって明らかにひどいのかなー?
〇〇マイクロシーベルトなら、時間かけて裁判した後に結論出してもいいんじゃない?
等々、裁判官に二の足を踏ませる要素がいっぱいあるから。
そういうわけで、
二本松のゴルㇷ上の無主物の話や
郡山の小学生の集団疎開の話は
本チャンの裁判で負けたわけではなくて、
仮処分申請で負けただけ。
仮処分で勝つのは、裁判で勝つのの5倍くらい難しいので、
被害者側の弁護士も、負けは想定内です。
新聞はそのへんを、わかってるのに(彼らにも法律顧問はいるわけだから)
大げさに書きたてるので、
みなさん誤解しがちなのですが
別に、東電が正しいから、被害者の申し立てが認められなかったわけではなく
別に、裁判所が東電の味方をしているというわけでもないのです。
仮処分決定の一部が判例を形成することも、
無くはないですが
そうだなー、例えて言うと、
仮処分=ドラフト会議。。。
本チャンの裁判=プロ野球の公式戦。。。みたいな感じ。
ドラフト会議までで、才能は何となく判断されるけど
プロ野球でどのらい活躍するかはやってみないとわからないのです。
そんで、
地方裁判所=日本のプロ野球
高等裁判所=大リーグ
最高裁判所=大リーグで長く活躍できるか
ってとこでしょうか。
ドラフト外で入団しても活躍する選手はいっぱいいるわけで、
めげずに頑張りましょう。
ちなみに、ま、やっぱり、
甲子園常連校にいた方がドラフトで指名される確率が高くなるのと同じで
裁判官も、弁護士の格を見るのでね、
せめて、県の弁護士会が応援するくらいの方が
仮処分で勝つ可能性がたかいのかもしれません。