会議室の蛍光灯。
人事の方が
淡々と話す
「定年後の
再雇用制度」。
周りは
うなずいている。
私だけ、
笑えなかった。
はじめまして、
みずきです。
54歳、
総務をしています。
説明会の最後に
渡された封筒。
中身は
再雇用の給料表。
今の給料の、
だいたい半分。
「任意ですが、
ご検討ください」
その言葉が、
胸に刺さりました。
帰りの電車で、
封筒を開けず、
窓の外を
ただ見ていた夜。
それが、
あの日です。
あの夜から、
私は知りました。
再雇用だけでは、
足りない。
でも、
体を壊す仕事にも
戻りたくない。
画面に残る足跡だけ
を頼る、
第2の柱
を探し始めました。
封筒を開けたのは、
家に帰ってから。
夫はもう寝ていた。
台所の灯りだけで、
数字を見て、
声が出ませんでした。
父が定年後に
腰を壊したあの仕事。
求人票にあった
「立ち仕事」「倉庫」
という文字が、
5年後の自分に
重なって見えたから。
「副業」で
検索した夜も
ありました。
「スマホで簡単」
「案件保証」
ギャンブルみたいで、
指が止まった。
騙されたくない。
でも、何もしないと
怖い。
ダメ元で
ツールの画面を
開いた夜。
驚いたのは、
数字の方でした。
きれいな
お勉強記事は
誰も読まない。
やけくそで書いた
「給料表を見て黙った夜」
だけ、
同じ50代の人が
長く止まっていた。
美しい文章は
要らない。
データが示す
「息を止めている場所」に、
本音を置くだけ。
年齢のせいではなかった。
戦い方が、古かっただけ。
今でも、
人事の封筒は
引き出しにあります。
怖くなる夜も
あります。
でも、
誰にも言わずに、
家から一歩も出ずに、
内緒で
第2の収入を
育てています。
月10万、と
叫ばなくても、
年金の封筒を
開けられるようになった。
それだけで、
十分でした。
最後に:給料表を黙って見たあなたへ
あなたは、
長いあいだ
我慢してきました。
説明会でうなずき、
帰り道で黙り、
家で数字を見て
息を飲んだ。
それは、弱さじゃない。
戦う道具を
変えるだけで、
次の5年は変わります。
