迎  春

 

     ご無沙汰しております。お変わりありません

         か。先日、家事手伝いのオバさんが素朴な

         表情で、天皇に万一のことがあっても、賀状

         は出すのですか,と尋ねてきて、本当に驚か

         されました。

           ほんの数枚の手書きの年賀状を出して

      いた十代の昔から、現在に至るまで、僕に

        とっては、新年の挨拶は、「虚礼」などでは

        なく、かけがえのない、音信(コミュニ)()形式(―ション)です。本年

        も宜しくお願い致します。

                       1989年 新春