土曜日、立ち会いの時間から2時間後、測量士から電話が入った。

「何とか、息子さんから測量の境界点の位置は、こちらの話す位置で了解を得ることが出来ました」
と。

それも老婆が何だかんだと言うので、簡単ではなかったらしいが、
息子さんは、冷静に
「本来なら母の気持ちに沿うところですが、この後説得します」
と言ってくれたそうだ。

測量で杭の入れる場所が決まると、越境はなくなり、
後は作業を淡々と進めるだけになる。

今回は
不動産屋の社長もここぞとばかりに色々言ったらしい。
「お母さん(老婆)の言う点で杭を打つとね、今度はこっち側(南北に伸びる塀側)がずーっと越境になるんだよ?この高いコンクリートブロックを何十メートルも壊してもらうことになるんだよ?」
と。

実は今回はうちの実家が依頼した測量だけど、
問題の境界は、老女の他にもう一軒の方(隣人)もいたので前回は一緒に確認していた。
その隣人は、お任せします、と終始穏やかだった。
老婆に対しても苦笑しながらも気長に付き合ってくれていた。

実はこの方のお家を建てた30年前に、ブロックを作るときの業者が杭を抜いたようで、
その杭を我が家側に差し込み直したことで今回のようなずれがおこった、と推測しているのが測量士。

そして、そのずれはうちと老婆の西東の境界線だけでなく、南北に伸びる境界線もずらしていた。

(誰のせいかというと、杭をずらしたてあろう、ブロック塀を作った工事請負会社で、こちらの隣人は何も悪くない)

でも、このことで、
30年前に打った杭の位置を基準とすると、今度はその隣人の壁から老女側に伸びる境界が、僅かに越境となるという。
アパートのコンクリートと、隣人のコンクリートは殆ど隙間がない。
そのため?3点の交わる測量の杭はうちの土地に打ち込んである状態だ。
(その杭の位置を基準にしろ、と前回騒いでいた老女)

この杭の位置が、南北越境にあたることを今回は不動産屋の社長が指摘した。
前回は全く問題にしなかったのに。
(その前回の立ち会いの時は、昔からあるアパートのコンクリートを壊すところまでは考えがいかなかったし、既存のものを壊さなきゃ行けない測量はないと思っていたし、何よりもこんなにややこしくなるとは思わなかったから)

アパート側の越境のことを話すと老婆は
「知らん、そんなんワシは知らん、そんな昔のことはわからん」
と自分に都合の悪いことは、これで通すのだ、と聞いた。

勿論、雨水の迷惑がかかっている話しもして
「なんで、こんなところに(うちの土地に流れ落ちるように)水抜き穴があるのか」
と、老婆の息子も閥が悪そうだったと言う。

そういうことも含めて、
息子は自分の親の主張を断念したのだろう。

測量士に続いて、不動産屋からも報告の電話が入って
これらのやり取りがわかった。

と、いうことで
フェンスを壊すこともなく
土地を減らすこともなく
図面の変更も必要なくなり
測量は完了の方向へ進む。


私が怒らなければ
何十万も費用がかかり、損をするところだった。

…と、いうか
仕方がないのだと思うけど
私が言わなくても
不動産屋も測量士も、もっとちゃんと説得出来ないものなのかなあ…