使い古された格言や名言を駆使して
僕は僕らしさを探しながら
『これが僕だよ』って
毎回少し違う僕を
さも僕であるかのようにヨチヨチ歩きで説明するんだ
それで結局
一体どれが僕で
どれが僕ではないんだろって
自分自身に聞いたつもりなのに
名著やらなんやらが溢れかえった本棚に
自然と視線が流れていることに気付く
あの日
仲の良いあいつが
ちっとも似合いもしない高級車に乗って現れたとき
僕ら 大笑いしたよね
あの日
大好きだったあの子が
まだ幼い顔してばっちりお化粧して現れたとき
僕は ちょっとだけ寂しくなったんだ
僕が僕らしさを放棄したのは一体いつだったかな
僕が僕らしく輝いていたのは一体いつだったかな
この本を読みきったら
僕は僕に近づくのかな
それとも
僕は僕から遠ざかるのかな
僕が僕に近づけたとしたら
その時 君はなんて言うのかな
僕が僕から遠ざかってしまったら
その時 君はなんて言うのかな
使い古された格言や名言を無視して
僕は僕らしさを探すことをやめて
『それも僕だよ』って笑ってみるんだ
必要以上に重ね重ねたヨロイが重すぎて
僕はヨチヨチ歩くことしか出来なかったんだって
気付いたからね
必要以上に重ね重ねたヨロイを少しの間だけ脱いでみて
今まで自分の足で歩いてなかったことに
気付くんだ
重い荷物は無いはずなのに
何かに寄りかからないと
ヨチヨチ歩くことしか出来なくてね
そんな僕を見て
君はきっと笑うよね
『それもいんじゃない？』って
きっとね
きっとそうだと思うんだ
