信号待ちの間、ふと目に止まったハナミズキ。


『あ、ほんとだー…』


一青窈さんも歌っているように、本当に空を押し上げるように咲いている。


その美しい花姿には似つかわしくないと思えるほど精悍で、生命力に溢れています。


そして、それを見て思い出したある出来事があるのです。


当時、まだ私が美容関係の仕事に就いていた頃の事、ある印象的なお客様がおりました。


毎週のように来られるお得意様で、特に月一度はカラーリングを希望され、それは必須の状態。


なぜならば、当時の年齢で30代半ばから後半くらいだったと思いますが頭髪の一本残らず白髪なのです。


暮らし振りは小さいながらもご主人が会社経営されていたようで、身につける貴金属や小物、洋服に至るまでとても贅沢な物。
国内外の旅行も頻繁だったようです。


ここまでなら裕福な奥様。


ですが、お店に来られると必ず翳りのある笑顔で毎日のようにご主人の帰りが朝方な事、別の女性とのほぼ二重生活を感じさせる日々である事を思いきり吐き出したい気持ちを押し殺し、控えめに吐露されていたのを思い出します。
その若さである時期から突然白髪となったのには、そんな事情が少なからず関わっているようでしたし、他にも計り知れない相当なご苦労もあったようでした。
ここに来て話す事がほんの少しの鬱憤晴らしだと、さも辛くないかのように話す姿がとても痛々しく感じてもいたのです。


そんなある日の事、そのお客様が体調を崩され入院する事に…。
思いの外長期となり、私が勤めていた店の経営者も当然お見舞いに行ったのですが、なんとその病室には、あれほど家庭をないがしろにしていたご主人が甲斐甲斐しく介助や介護をする姿と、幸せそうに微笑むお客様の笑顔があったそうです。


その後無事退院され、時間の許す限りどこへ行くにもご主人が送迎をし、相変わらずお店にもいらっしゃっていました。


ただ以前と違うのは、心配だからって…どこへでも迎えに来るのだと、今までの苦労など無かったかのようにはじけるような笑顔で幸せそうに語ったその表情。


長々とすみません。


つまり何が言いたいのかって事ですが…


人は考える事を止めない生き物…。


それは不幸でもあり、幸福でもあり…恵まれている事。
多かれ少なかれ、悩みや苦労の無い人なんて一人も居ないし、その本人しか分からない苦労も沢山あると思います。
どんなに大きな苦しみや辛さがあっても長い人生を一つのスパンとして考えたら、たとえ長く長く悩んだ事なんてほんの一時に過ぎないんだろうな~…
なんて自分も苦労を抱えていた時期の事を重ねて思ったりしたのです。


その苦労や悲しみ、悩みに取り込まれずやり過ごせる器用な人などそう居ないけれど、そんな時をどう生きるか、どう過ごすか…
難しいかもしれないけれど、このハナミズキのように元気よく上を向き、凛々しく明るく生きられたら苦労も苦労じゃないように思ったのです。


ちょっとエラそ…


でも、今もし、これを読んでいる方の中に辛い状況にある人が居たならば、すべてに通用するわけではないけれど伝えたいなと思った事。