淡々と、綴られていくお話。
日常であって日常ではない。
平淡な日々の中で、緩やかに事は進んでいく。
東京を離れ、短期間だけ山奥の別荘にいることにした僕と父。
同じような毎日。僕と父の間での日常は変わらない。
しかし「置いてきた暮らし」である東京は緩やかながらも時が流れていた。
それが「ジャージの三人」で分かる。
義妹のピアノの先生は亡くなり、妻は一人暮らしを決意した。
僕と父と別荘は変わらない。
しかし「僕」は妻への気持ちにある程度整理がついた。「妻」が変わったことで「僕」が変わった。僕と父に第三者が入ったことによる環境の変化が面白かったです。
「父」は3度目の結婚で、「僕」は父の1度目の結婚の妻の長男。生きてきた過程では第三者入りまくりなはずなのに、ここではあえて「父」と「僕」の物語を中心にしているところが深かった。