たった それだけのこと | 少しずつ

少しずつ

いつも後回しにしてた自分のこと
これからは大切にして生きよう
少しずつでいいから


たった それだけのこと

かもしれない







でも

身の毛もよだつほど



嫌だったんだ



・・・・・・・



6月30日 (日)

じいちゃん(=義父)の
一周忌法要  納骨



いろいろ
準備してきたよ


お店の予約して
お料理をお願いしたり

お返しの引き物を
注文したり


お寺さんへの御布施   御車代



お部屋を片付けたり
お庭をきれいにしたり



御焼香用の わら灰
きれいにして…

前日には
お墓のお掃除など



思いつくこと
いろいろね
夫婦で
準備してきたよ



じいちゃんのお骨
この一年間
ずっと お仏壇前にあって

手を合わせれば
すぐ 近くにいるような
じいちゃんの気配があって

安心できた






期せずして
夏越しの大祓い
となった 今日の一周忌法要




じいちゃんの納骨を終えれば

わたしは
また一歩ずつ
自分の足で歩き出せるような
気がしてた



かつて
介護ベッドが置かれていた
介護部屋にしていた座敷


訪問入浴さんが
お風呂を設置してくれてた
居間





いまは

すっかり

広々とした
二間つづきの部屋




その二間を開放して

法要のために集まる 
親戚を待った



玄関でお迎えして
駐車場の案内をしたり

席につかれたタイミングで
お茶を出したり

何かと忙しくしていた


居間を出て
廊下を歩けば お手洗いにつながる


そこから

さらに
その廊下の
奥にある部屋は


扉を閉めておいた




お寺さんに
お茶を出して 挨拶をして

部屋に戻ったとき





扉を閉めておいたはずの
部屋から

親戚のひとりが出てきた




えっ?


なんで、そこに行く必要があるの?




広々とした二間を開放してるのに

何故?



部屋の扉を閉めてあるのに

何故 開けてまで入ったの?





『犬が吠えたから気になった』






いつもは
愛犬は自由に家の中で
過ごしていて
用を足すときは
自ら ゲージに行く

階段をのぼり
2階に居ることもあれば
1階の居間に居ることもある
わたしたち人間と同じように
自由に過ごしている


来客がある時は
ゲージの中にいるのだけど

だから
確かに その部屋からは
愛犬の鳴き声がしたかもしれない
のだけど…



わたしが無理だった…



子どもじゃあるまいし

親戚と言っても
家族じゃないんだから…




本当は
泣きたかった


境界線を侵された




同意がないまま


繊細な こころの中に

土足で入られた気がした






でも

いまから お経がはじまる





大好きな じいちゃんの
一周忌法要だよ



場の空気を考えて

『ビックリしたぁ~』


そう言って平気なふりをした





すぐに
お経がはじまった


正座をして
目を閉じているだけなのに


涙が次々とあふれた



じいちゃんを亡くした悲しみ?

違うよね



だって

じいちゃんは
亡くなった日から ずっと

そばに居るのを 感じてる




扉を閉めておいた
部屋に 無断で入られたこと?

そんなに嫌だったの?




自分にきいてみる…





お寺さんの お経が
両耳に響く中で

止まらない涙と鼻水で
ぐちゃぐちゃになりながら


わたしは わたしに
何度も きいた



お葬式じゃないんだからさ

泣きすぎでしょ…





時々

自分を冷たい視線でみる わたし





ねぇ
わたしは何を感じたいの?


ねぇ
わたしが主役の  わたしの人生に
あの親戚を脇役として登場させて
わたしの何を知りたいの?




時折 おりんを鳴らす音が

倍音になる




すると

じいちゃんの声がきこえてきた



『ようやっとる ようやっとる』

『わしは、いつもここから見とるんや~』





それは

在宅介護をしていた頃に




じいちゃんが 突然 神様になって

両手で三角をつくり
第三の目にあてて

言い出した



あの じいちゃん


そのままだった







涙も鼻水も
止まるどころか

過呼吸になりそうなほど

肩が上下に動き出す







息を吐く

吸う






正座した足のしびれの
感覚もなくなり


ただ
声を押し殺して 泣いた




涙と鼻水

拭うためのハンカチも持たないまま
両手の  指先で  手のひらで  手の甲で


拭った





お経が ひとつ終わり
少しの休憩


しびれたままの足

膝をついて 四つん這いで
座敷を出て

廊下を 四つん這いのまま進む


蓋付の
お寺さんのお茶を用意して


なんとか
落ち着きを取り戻す



一時間ほどのお経が終わり

車 移動



お墓へと向かい
納骨をした



ぱらついていた
雨が 


納骨のお経をあげていただいている間

一気に強くなり




旦那さんの 頼れる背中

礼服が
まるで 雨合羽のように光っていた



浄化の雨



じいちゃん ありがとう





じいちゃんとの約束の

ゆびきり





ねぇ

じいちゃん おぼえてる?










ありがとうございます


よん♡