『海のふた』
            よしもとばなな
             名嘉睦稔
             中公文庫

修善寺の書店さんの帯のコピーに惹かれて買った、よしもとばななさんの『海のふた』。


 ひらがな表記のお名前は、出産後、仕事よりも子育てに重きを置いていらした頃のお名前と何処かで読んだ記憶があります。 


 寂れてしまった故郷の西伊豆でかき氷店を始めた「私」と、大切な人を亡くしたばかりの母親の親友の娘「はじめちゃん」の、ひと夏の深く濃い日々を描いた小説です。 


 清々しくて揺るぎないばななさんの言葉とエネルギッシュで力強い名嘉睦稔(なかぼくねん)さんの版画。なんて贅沢な文庫本でしょう!


この物語は夏の海のようにキラキラしています。