太陽のパスタ、豆のスープ

       宮下 奈都   集英社文庫

 

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結婚式を直前に、思いがけなく婚約を解消されてしまった明日羽。

失意のどん底にいる彼女に叔母のロッカさんが提案したのは、やりたいこと、楽しそうなこと、欲しいものを全部書き出して、自分でそれをひとつづつ叶えていくことだった。

ドリフターズリスト(やりたいことリスト)を書くことを通じて、明日羽が自分の心と向き合って、再生していく物語です。

 

毎日の暮らしの中で、ずっとあたりまえのことに思っていたことが突然失われて初めて、その

ささやかなひとつひとつがどれほどありがたく、幸せなことだったか気づくことがあります。

 

後からふり返ってみてもやっぱり、「この辛い出来事があったから、今の私がある。」なんて、決して思えないし、思いたくもないような出来事が起きてしまうこともあります。

 

それでもやはり、長い時間を経て振り返ってみると、そんな悲しい経験の中にも、その経験をしなければわからなかったことがいくつもあって、これからの人生はそうしたことを大切にしていきたいと思っています。

 

と思ってはいながらも、そうそううまくいくはずもなく、ときどきふいに悲しくなったり、落ち込んでしまうことがまだあります。

 

暗いトンネルから抜けられなくなったときには、またこの小説に戻ってこようと思います。

 

明日羽が黄色のル・クルーゼの鍋で毎日の自分の食事の準備をするように。

豆をゆっくり水で戻して、ふっくら美味しく煮るように。

日々のありふれた、ささやかなことに気持ちを込めて、丁寧に。