箱館・五稜郭に無血入城を果たした、旧幕軍は、兵士達を休めたあと、次の行動に移った―。先に逃走した松前藩の残兵が、本拠松前城に立て籠る様子を見せたからだった。まず使者を送り、出来るならば戦わずに降伏させようとした。―が、使者が斬られるという事態になった。あくまで、"徹底抗戦"の構えである。
『土方さん、出来れば穏便に解決したかったのですが…、残念です。これより松前藩を攻めて頂きたい』榎本武揚は松前藩への対処の会議を開くと、土方にこう言った。
『わかりました。行きましょう。なあに、城攻めなら任せて下さい』と土方は言った。
『頼みます』
こうして土方は、松前城攻略の総司令官となった。大鳥圭介は雪中行軍と、激戦の疲れからか寝込んでしまっていた。
『これぁ、城というほどではないな…。籠城戦ともなれば、1日として持つかどうか…。その時は生きてはいまい…』土方は、五稜郭の堤の上に立ちそんなことを考えていた。 『そうならぬ為にも、俺は闘う!』そう気持ちを新たにした。 今までの戦いで、既に大砲や銃の進化によって、過去に造られた城は、何の役にも立たないことを土方は知っていた。
話はそれるが、近代戦術でもビクともしなかった城は、後の西南戦争で、薩摩軍の猛攻を退けた熊本城だけである。かつて、豊臣秀頼を迎える為に堅固に築いたと云われる、加藤清正の思い入れの強さが、これにより証明された(但し天守閣はこの戦争で焼失したが)。
『隊長ーっ!』亀太郎が土方を探して走って来た。
『亀太郎、この城(五稜郭)では籠城は出来ぬ。そんなことになったら、俺は生きていないだろう…』さっき思っていたことを、亀太郎につい言ってしまった。
『隊長…、そんな事を言わないで下さい…。そうなったら私も…』いきなりそんなことを言われて、亀太郎は泣きそうな表情をした。土方は『はっ!』と我に返ると、『いや、すまん。弱気な事を言ってしまった。そうならぬ為に俺はこの蝦夷で戦うのだった。すまなかった…』土方は亀太郎の前で、つい本音を言ってしまう自分が恥ずかしくなった。
『そうです!隊長なくしてこの蝦夷はありません!もちろん私もです!』と真っ直ぐな目で土方を見た。
その瞳を見ながら土方は、"うむ"と頷くのであった―。
つづく
『土方さん、出来れば穏便に解決したかったのですが…、残念です。これより松前藩を攻めて頂きたい』榎本武揚は松前藩への対処の会議を開くと、土方にこう言った。
『わかりました。行きましょう。なあに、城攻めなら任せて下さい』と土方は言った。
『頼みます』
こうして土方は、松前城攻略の総司令官となった。大鳥圭介は雪中行軍と、激戦の疲れからか寝込んでしまっていた。
『これぁ、城というほどではないな…。籠城戦ともなれば、1日として持つかどうか…。その時は生きてはいまい…』土方は、五稜郭の堤の上に立ちそんなことを考えていた。 『そうならぬ為にも、俺は闘う!』そう気持ちを新たにした。 今までの戦いで、既に大砲や銃の進化によって、過去に造られた城は、何の役にも立たないことを土方は知っていた。
話はそれるが、近代戦術でもビクともしなかった城は、後の西南戦争で、薩摩軍の猛攻を退けた熊本城だけである。かつて、豊臣秀頼を迎える為に堅固に築いたと云われる、加藤清正の思い入れの強さが、これにより証明された(但し天守閣はこの戦争で焼失したが)。
『隊長ーっ!』亀太郎が土方を探して走って来た。
『亀太郎、この城(五稜郭)では籠城は出来ぬ。そんなことになったら、俺は生きていないだろう…』さっき思っていたことを、亀太郎につい言ってしまった。
『隊長…、そんな事を言わないで下さい…。そうなったら私も…』いきなりそんなことを言われて、亀太郎は泣きそうな表情をした。土方は『はっ!』と我に返ると、『いや、すまん。弱気な事を言ってしまった。そうならぬ為に俺はこの蝦夷で戦うのだった。すまなかった…』土方は亀太郎の前で、つい本音を言ってしまう自分が恥ずかしくなった。
『そうです!隊長なくしてこの蝦夷はありません!もちろん私もです!』と真っ直ぐな目で土方を見た。
その瞳を見ながら土方は、"うむ"と頷くのであった―。
つづく