妄想日記こひバージョン
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暗闇に慣れていた眼がだんだんと明るい空間に適応し始め、それにつれて眼の前の光景を理解し始めた


床に仰向けに倒れる母親、その母親にまたがる父親


母親の左目は紫色に腫れ上がっていた



『痛いっ、女性を殴るの!?!?


「やかましいんじゃっ!!!!


バシッ!!バシッ!!


昌彦は目の前の光景が恐ろしくも悲しかった

そして気付けば僅かに開いていたふすまを半分程開け、母親の部屋に一歩踏み入れた場所で立ち尽くしていた


バシッ!!

『だ…誰か助けてーっ!!!!


母親は泣き叫びながら、父親から逃れようと手足をばたつかせながら、何かにすがるように周囲を見回した


そしてその時、この一方的な暴力行為を部屋の隅で傍観する昌彦の姿を確認した、二人の眼と感情が繋がった瞬間だった

15

―何で僕が殴られなきゃいけなかったのだろうか―


昌彦は心の底でそう呟いた


真っ暗闇の視界に、ぼんやりと景色が映り込んできた


薄暗い部屋、豆電球のオレンジ色の弱い光、そして枕

ここは小学校1年生の途中まで住んでいたアパート

そして自分の部屋のベッドの上だ

枕元に置いてあるアニメのキャラクター物のアナログ時計を見た


AM02:05


部屋の中をぐるりと一周見回してみる


漫画や恐竜図鑑ばかりが詰まった本棚、壁に掛けられたアニメキャラクター物のパズル、小学生用の小さな制服の掛かったハンガー


部屋の隅のふすままで見渡すと、ふすまは少し開いた状態で、若干外れてズレている


そしてふすまの隙間からは、薄暗い部屋には似合わない、何か誘われる強い光が射し込んでいた


―この光はお母さんの部屋からだ―



昌彦はその強い光に誘われるかのように、ベッドから降り、ふすまの隙間から母親の部屋を覗きこんだ


その瞬間


バシッ!!!!という音がふすまの向こう側から聞こえてきた

14

ガシャーンッ!!!!!!


殴り飛ばされたモノは教室の一番前の酒川の机に激突し、更に後ろの山田の机に激突した


『キャーッ!!!!』

この光景を一番間近に感じた朱野が、悲痛な叫びをあげた


教室中がどよめき、一部の生徒は混乱に乗じて教室からの脱出を試みようとした、が、唯一の出口である前の戸は完全に比我が邪魔になり通れない

この騒ぎを間近に目撃した誰もが、比我を押し退けて教室から出る勇気が出ないことは必然であった

そして逃げ出そうと席を立った者達はゆっくりと腰を下ろし、着席をした


そして冷静さを取り戻した彼らは思った、殴り飛ばされたモノは何なのか、朱野が殴られる直前に比我との間に割って入ったのは?


ロンティーや酒川や朱野達が心配して様子をうかがっている対象は、意識は無く、元々色白の頬は赤く腫れ上がり、いかにも軟弱そうな体は、背中を山田の机の足に預けた形でぐったりしている




姫沢昌彦だ
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