ジーンファーレン。インターネット会社 ステンレスキャッスルの若き社長。彼は高校生、祐希学との出会いで凝り固まった心を解きほぐす。タオルを首に掛け、フーと一息つく。[ヤア、ミユキさん。訓練室に入ってくれないか?二人で合同訓練だ][わかりました][レイカバーシー。今現在、うちのシステムの侵食率を知りたい。ウイルスはどこまできている?][監視ルームとは随時オンラインで繋いでいます。現在、侵食率30%ですが予断は許されない状況です。実際、最初の戦闘では、10%上がっています。今は安定している状態です][まだ、臨界点に達してないか。………少し休めるか?][エエ。仮眠程度なら。隣の部屋が空いてます][そうか。君たちも無理はするなよ。社員の交代制はうまく機能してるか?][珍しいですね。社長。社員の心配をするなんて][そうか?君たちにかかっているのだからな。期待しないわけがないだろう。ジャー休ませてもらうよ]




ジーンファーレンは少し仮眠を取った。



高校生か。懐かしいな。俺には彼のような生き方は出来なかったが。



ジーンは若い頃の夢を見た。彼には父親がいなかった。母親と親戚の会社が面倒をみてくれた。若い頃のジーンは母親の背中を見て育った。いずれ自分も働く事になると子供ながらに理解していた。どうしても高校はと母親は学費を工面して入学した。だがジーンは学業とアルバイトを両立するのだった。実際にはアルバイト中心の生活だった。夜中勉強をして午前中寝てアルバイトに行く。そんな頃の話だった。



今日も学校に昼寝をしにいく。皆、事情がわかっていて何も言わなかった。夕方になりアルバイトの時間になり仕事をこなす。


[ジーン君。お疲れさま][お疲れさまです。先輩][よく働くな。学業も優秀なんだろ?][イイエ。僕は早く働きにいきたいんです。高校生からその勉強をさせていただいてるだけで][あまり無理はするなよ。この後、メシでもどうだ?][せっかくですが、遠慮しておきます。僕は勉強があるので。それじゃー][………ませた奴だな。アイツは。確かに仕事はしている。だがそれは社会人としての見方だ。学生として見たら不合格だな]




ジーンは目を覚ました。いったいどの位、寝ていたのだろう。




ミユキが訓練室に入る。[マナブ。大丈夫?休まなくて][アア。平気だよ。合同訓練を始めようか]



作戦ルームの安倍千夏がレイカバーシーに尋ねた。[レイカさん。上手くいきますよね。二人なら。勝手を知ってるし][チナツちゃん。仲が良いだけじゃ上手くいかないわ。お互いに競いあう仲じゃないと。見てなさい]チナツはその意味がわからなかった。姉弟のタッグは上手くいかない。レイカは見抜いていた。大人のカンなのだろうか。今まで仲良しコンビが成功したケースなど少ない。そんなデーター分析ができていた。高校生とは違うカンの世界。学業では教えきれないのだ