マナブが訓練中、五人の戦士が別の部屋に入った。[レイカバーシーさん。彼らは?][今回の任務に参加するメンバーよ。円盤を囲うように、前に一機。横に二機。後方に二機。ちょうどピラミッドのような形の陣形ね。後で紹介するわ。連携訓練もしておきたいし]



今回の任務のため、続々と戦士が集まってゆく。これが宿命だと言わんばかりだ。人間は人との繋がりで進化する。その善悪については、誰も何も言えないのだ。器用な人間なら、ケースバイケースで合わせたりしてるくらいだし、不器用でも、それなりだ。世の中のバトルロイヤルにルールなど無いのだ。場外乱闘でも、正統派でも勝ちは勝ちなのだから。




マナブも一瞬の勝利のため、必死だった。それが未来に繋がると信じていた。射撃訓練用、ダミーターゲットを展開する。狙ったターゲットにストレートに当たる。無重力状態での射撃は正確性がポイントだった。




[だんだんコツは掴んできましたよ。ジーンさん。実際、やる方が早いんですね。頭で理解するより][ホウ。さすがに高校生だ。スマートな考えをしているんだな。純粋で繊細な少年だな。懐かしい。君といると爽快な気分になるよ。まじりっけの無い青空のような][………そうですか?たまに傷なんだよな。人間って純粋過ぎるのも罪なんですかね?][イイヤ。利用者が汚れているだけだ。染まってはダメだ。だが、そのたびに勉強すれば良い。君は仲間を信じるのだ。きっと導いてくれる][ジーンさんもそうやって社長に?][私か?イヤー見本には及ばないよ。私は違うタイプだ。孤独をバネにのしあがった。だから離婚も決意したのだ。たまには連絡を取っているがな][違うタイプなんですか?それって。仲間の為に自分を犠牲にする。自分の出世と家族を交換したんですか?ジーンさん][そうかもな。初めて話すが。君といるとついそんな話をしたくなる。良いパートナーになりそうだな。マナブ君。世の中とは、そんなもんだよ。違う遺伝子が融合することで産まれる。それを求めて人はドラマを演じるのだ]




二人の会話はまるで今までを再確認する会話だった。閉鎖されたコクピットに二人で訓練をする。これが連中への切り札だと信じていた。コンピューターウイルスへの対抗策は兵器ではなく絆だった。兵器はあくまでも補助だった。





なんとなく射撃訓練にも慣れた。ジーンの指導が良かったのか本人の実力なのかはわからなかった。




[ところで、マナブ君。お姉さんとの共同作業は初めてか?][ウン。姉弟だから向こうもわかるだろうと過信している。全てわかる訳じゃないのに。不思議だよね][そうかもな。私の妻もそうだった。一緒に子供を育てたからわかるだろうと。実際には離婚したがな][できるのかなー?お姉ちゃんと][今、来てるみたいだぞ。一緒にやるか?][やりましょう。時間が無いんでしょ?][了解。今、プログラムを落とす。それからだ。マナブ君。これからが勝負だ!頑張ってな!相棒][相棒?そんなつもりじゃ…………恐れ多いですよ。社長][ハハハハ。君に投資して正解だったな。今度、ショッピングにでも行こう。ファミレスとかな][宜しくお願いします][呼んで来よう。リラックスして待っていてくれ。紅茶を頼んどいた。一息つくと良い][ありがとうございます][………アア、それから…………なんと思ってくれても構わない。だが…………すまなかった。君たちを巻き込んで。大人失格だ。俺達は。すまなかった。君たちを巻き込んで][…………ジーンさん…………立派だと思います。ジーンさん][ウン?そんな事は無いさ]頭をかくジーン。







続く