はじめに
最終上映後も釜の低音が消えない。映画館の売店で笑顔だけが評価され、寝つきが悪い夜が続いた
ある夜、売店のシャッターを下ろしても、釜を回していたときの低音が耳の奥に残っていました。紙コップの縁のワックスが、指先にべたっと残る気がします。
はじめまして、はくです。地元の映画館で、売店のレジとポップコーンのパートをしています。36歳。
客の前では笑顔を作ります。でも、評価に残るのは、だいたい声のトーンとセット売上の数字だけでした。暗転アナウンスのあとでも、同じセリフを繰り返す喉の渇きが続きます。
スタッフ用のLINEに副業のスクショが流れてくる夜。スタンプで返してから、胸の奥がきゅっとなる自分がいました。
今は、笑顔の回数だけで自分の価値を測るのをやめました。帰宅後は、ブログや記事の「何人が読んだか」「どこで離脱したか」という記録だけを見て、次の一行を決めるようにしています。
紙コップの山を片付けたあとでも、文章の記録は少しずつ増えていく。座ったまま、内緒で第2の柱を育てています。
CHAPTER 01
売店の延長だけの副業は、もうやめた
帰ってもセットの声かけばかり頭に残って、結局何もできない夜、ありませんか。
広告の「在宅」「未経験OK」は毎日見ます。でも、客席の明かりの下で声を張る仕事の延長みたいな副業は、もう無理だと分かっていました。
このまま売上だけを反芻する夜は限界でした。派手な保証には触れず、記録だけを見て順番を直す型を探していました。
CHAPTER 02
きれいな「おすすめセット一覧」だけでは、誰も最後まで読まなかった
写真だけきれいな「おすすめセット一覧」は、最後まで読まれませんでした。
やけくそで書いた「ありのままの話」だけが、同じカウンターで声を飲み込んでいた人に、最後まで読まれた。
能力が足りなかったのではなく、評価される場所が売店とネットで違っただけだと気づきました。
CHAPTER 03
釜のスイッチを切ったあとも、柱ができた
今でも映画館の仕事は続けています。今日辞めるつもりはありません。ただ、帰宅後に毎回つぶれる日が、減りました。
低音を聞き続けなくても、ブログの読者数や記事の記録は、少しずつ増えていく。それだけで、次の上映前を迎えられるようになりました。
最後に:釜の低音を抱えたあなたへ
向いていないのではなく、笑顔とセット売上だけで測られる場所に、立っていただけです。
見ている場所を変えれば、夜はもう少し、軽くなります。
